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先端数理科学研究科 千葉SSHの高校生が「現象数理学」に熱視線

大学院生のサポートで、初対面ながらも数理で繋がる高校生たち

大学院先端数理科学研究科は11月17日、千葉県全体の理数教育の向上をねらいとする「千葉サイエンススクールネット」の依頼を受け、中野キャンパスで同県6高校に通う1・2年生の生徒25人(教諭7人)に、サイエンスセミナー「現象数理学入門講座」を実施した。

千葉サイエンススクールネットは、将来の国際的な科学技術系人材を育成することを目指し、理数系教育に重点を置いた研究開発を行う文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定校を中心とするネットワーク。同ネットは、2011年度の文科省指定コアSSH事業にも採択されていて、県立船橋高等学校を中心に、市川学園市川高等学校、県立長生高等学校、県立柏高等学校、市立千葉高等学校ほか多数の高校、小・中学校、大学等が連携する。

本学の先端数理科学研究科は、博士前期課程、後期課程が2011年4月に同時開設された研究科。2013年4月の中野キャンパス開校とともに生田キャンパスから移転。先端研究の集約によって世界的研究拠点を形成する先駆けとして展開する。

約5時間に及ぶ講座は、日曜日の中野キャンパスで行われた。はじめに、生徒たちは「現象数理学へのいざない」と題して、先端数理科学研究科の三村昌泰特任 教授(先端数理科学インスティテュート所長)から「自己組織化」について1時間の授業を受講。その後は、同研究科の末松信彦特任講師による実験授業で、午 前の部は、シャーレにオイルを注ぎ下から温め、細胞(セル)状の対流現象(ベナール・セル)を4班に分かれて観察。午後は、培養液の中で泳ぐミドリムシ に、下から光を照射した時に現れる模様(自己組織化)を観察し、班ごとに考察をまとめ、発表した。

活発な質疑もされた発表を聞き終えた三村教授は、高校生たちの集中力と柔軟性を称えながら「こんなことが起きるのでは?と予想しながら実験することが大切」と述べ、若き科学者の卵たちへエールを贈った。

講座を終えて、市川高に通う2年生の男子生徒らは、「ゼロから始めた実験を、1日でここまで考察できて有意義だった」「普段は物理の研究が多いが、今日は新しい視点を得られ、現象数理学に興味が湧いた」と目を輝かせながら話した。