本棚『地域文化史の調査と研究』鈴木 秀幸 著(日本経済評論社、4,800円)



鈴木氏は、故木村礎元学長の下で、幕末維新期の地方庶民文化史の研究に入られ、埼玉県下の公立高校教諭を経て、百年史の編纂事業を契機に明治大学に入職、大学史資料センター事務長や、全国大学史資料協議会会長(学外)などの要職を務められた。氏には、既に、『幕末維新期地域教育文化研究』(博士号取得論文)と『大学史および大学史活動の研究』(ともに、2010年、日本経済評論社刊)の著書があり、本書は、第三冊目の論文集である。

第一章では、埼玉県比企郡小川地域における和算の広がり、茨城県下妻市伊古立の飯泉家の生活史と、同市千代川地域の文化の諸相に関する地方資料を丹念に掘り起し、第二章では、明治法律学校・明治大学に学んだ佐藤琢治(山形)、安藤正楽(愛媛)、三木武夫(徳島)という三人の学生たちの生育環境・勉学・卒業後の活動などを跡づけ、彼らが明治法律学校や明治大学で学んだ意味を問い、第三章は、鈴木氏の真骨頂であり、恩師木村礎直伝の「村歩き」の極意と、地域文化史および大学史研究におけるその意義が論じられている。地方資料調査の困難さと楽しみの両方を、存分に伝えてくれる好著である。

村上一博・法学部教授(著者は元調査役・文学部兼任講師)

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