駿風

厳しい寒風の中で、凛として咲き誇っている一輪の梅を見て、ふと、司馬遼太郎の「二十一世紀に生きる君たちへ—洪庵のたいまつ—」を読みたくなった。近くの図書館へ足を運んだが貸し出し中で、予約は8人待ちという。

今、なぜ、司馬遼太郎のメッセージが多くの人から渇望されているのか。作者が修正に修正を重ねて、大作よりも渾身の力を込めて著したと伝えられている短篇である。未来の日本を築いていく子どもたちに、人への思いやり、学ぶことの大切さ、学んだことは人に教え、人のためにすべてを伝えてもらいたいという情念が、世代を超えて私たちに感銘を与え、意欲を喚起してくれるからだと思う。

最近、夜9時過ぎの電車に乗って感じるのは、都会の生活が急激に変化していることだ。遅くまでラッシュ状態が続いている上に、ほとんどの人がスマホを操作していてその一様な姿はちょっと異様である。もちろん見ている画像は千差万別だと思うし、アプリの活用次第では得るものが多いと理解している。けれども、若い人たちはもっと生身の人間に接して、ナマの声で会話してほしいと、切に願っている。

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