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明大の特許「サンゴ砂礫農法」による高糖度トマトを初出荷

思わず笑顔がこぼれる甘いトマト 右から中林准教授、赤坂代表取締役、加藤町長

農学部の中林和重准教授が発明した「サンゴ砂礫農法」を活用して栽培された高糖度トマトの初出荷式が2月26日、福島県新地町にある新地アグリグリーンで、プロジェクトおよび新地町関係者らが参列して挙行された。

このプロジェクトは、復興庁と経済産業省による2013年度の中小企業経営支援等対策費補助金「先端農業産業化システム実証事業」に採択されたもので、明治大学研究活用知財本部を通じて栽培技術を提供する本学のほか、清水建設(本社・東京都)、栽培を担う新地町農業法人・新地アグリグリーン、セブン&アイ・ホールディングス傘下で東北を地盤とする流通大手のヨークベニマル(本社・福島県)が連携して取り組んだ。

出荷式では、新地アグリグリーンの赤坂保信代表取締役が謝辞に続けて「昨年10月に苗を定植して、今日の収穫を迎えることができた。これからも良い品質のトマトを届けたい」と抱負を述べた。

来賓を代表してあいさつに立った新地町の加藤憲郎町長は「甘く、思いの詰まったトマトができた」と、町の新たな特産品の誕生を祝賀するとともに「これを励みとして、これからもチーム新地で復興を進めていく」と力を合せて復興していく決意を示した。

続いてテープカットが行われ、初荷を乗せたトラックの出発を見送った。植物工場に場所を移して行われた試食会では、「あまーい!」とあちらこちらから驚嘆の声が上がった。

これまでミニトマトでは高糖度と多収量の両立は不可能とされていた。その常識を打ち破ったのは、中林准教授のたゆまぬ研究の成果だ。「学界でも異端児扱い されていた」と振り返る中林准教授は、特許出願申請の際にも、研究推進部の職員とともに説明に出向いたことなどに触れ、「大学からの支援も含め、さまざま な出会いがあった。だからこそ、花が咲き、実がついた」と感慨深い笑顔で話していた。


ブランド名は「スイートマシェリ」

商業ベースでの出荷が始まった「スイートマシェリ」

「マシェリ」はフランス語で“大切なもの”を意味する。今回出荷されるトマトは「イエローミミ」「イエローアイコ」「アイコ」「トスカーナバイオレット」「ピッコラカナリア」の5種類。糖度が平均9度以上で、甘いトマトが皆にとって大切なものになるようにとの思いを込めて名付けられた「スイートマシェリ」ブランドは、当面は福島県郡山近郊のヨークベニマルの店頭に並ぶ。