Go Forward

理工研・新領域創造専攻が東京初「ジェインズ・ウオーク」を開催

中野キャンパスのプレゼンスペースに集合(撮影:陳遥遥) 古地図を片手に中野のまちを歩く(撮影:山本俊哉) 味覚でまちを感じるのもまち歩きの楽しみ(撮影:鈴木俊治)

毎年5月4日前後に、世界100都市以上でまち歩きイベント「ジェインズ・ウオーク(Jane's Walk)」が開かれる。日本では今年初めて東京と京都で開催され、東京では5月4日に大学院理工学研究科新領域創造専攻が、中野キャンパスとその周辺で主催した。当日は、一般市民を含め67人が参加し、本学教員らがガイドになって6コースに分かれて歩き、中野キャンパス周辺の多様な魅力を再発見した。

ジェインズ・ウオークとは、20世紀後半の都市思想に最も影響力のあった著作家・運動家のジェイン・ジェイコブスの名を冠にして、彼女の誕生日の5月4日前後に行われる。彼女が亡くなった翌年の2007年に、彼女が晩年過ごしたトロント(カナダ)で始まった。その2年後には北米24都市に広がり、1万人以上が参加する世界的なイベントになった。

今回の企画は、本学の外国人招聘教授として来日したケンタッキー大学のダグ・スレイメイカー教授が管啓次郎教授と山本俊哉教授に開催を提案したことから始まった。そこで、両教授が所属する新領域創造専攻の大学院生たちが実行委員会を立ち上げて開催準備を進めた。

当日は、ジェイン・ジェイコブスに詳しい鈴木俊治客員教授と、中野キャンパス周辺の地形と公園に詳しいランドスケープ・アーキテクトの石川初氏のレクチュアを聞いた後、6班に分かれて約3時間、まちをつぶさに観察して歩いた。

鈴木教授の班は、中野のまちの個性を目で見るだけでなく、音を聞き、においを嗅ぐなど五感を使ってとらえ、スケッチを描くなど参加者自身の手で記録した。石川氏の班は、地形図や植生図を参照しながら、中野キャンパス周辺の自然と地面を「虫の目」で観察し、その背後に見え隠れする都市のシステムを探った。山本教授の班は、戦前の古地図を片手に、西武新宿線の沼袋駅を通って哲学堂公園まで歩き、中野のまちの地形と市街地の変化を体感した。管教授の班も、中野区役所前の犬たちの銅像を起点に、新井薬師を経由して哲学堂公園まで歩いた。倉石信乃教授の班は、富士山の見える場所を探して歩き、福地健太郎准教授の班は、水の流れに着目して隣の杉並区に足を伸ばした。

中野キャンパスに戻ってきてからは、班ごとに成果をまとめ、各々発表した。多様な見方・方法で中野のまちをとらえることにより、中野のまちの多様な魅力を共有することができた。「土地勘はある程度あったが、意外な高低差、滲み出る歴史の違いなど新鮮だった」という感想も寄せられた。これらの成果は、世界のジェインズ・ウオークの記録集に掲載する予定である。

(大学院理工学研究科新領域創造専攻)