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リバティアカデミー 中野税務署との連携講座を開催

「日本の未来と税の役割」

日本の未来と税について語る三塚署長(左)と小笠原教授

リバティアカデミーは5月14日、中野税務署との連携講座「日本の未来と税の役割」を中野キャンパスホールで開催した。中野税務署から三塚一彦署長、藤巻一也副署長を招き、税金の基礎知識についての講演と、小笠原泰教授(国際日本学部)を交えての対談を行い、約300人が受講した。

2部構成で行われた講座の第1部では、藤巻副署長が「税金の基礎知識と世界各国の税制」をテーマに講演した。

藤巻副署長は、税収のほとんどが社会保障関係に費やされ、借金(公債)残高が増え続ける日本の現状を紹介。「今後は高齢化により社会保障費が増加するのに対し、人口が減少するため税収が減り、ますます財政が厳しくなる」との見通しを示した。続いて税金の基礎知識として、所得税・法人税・消費税などの概要を解説。各税の過去30年間の税収推移から、所得税や法人税などの直接税は景気によって税収が左右されやすいのに対し、消費税などの間接税は税収が比較的安定しているといった特徴が紹介された。

また、消費税の軽減税率がヨーロッパなどで導入された事例が紹介され、食品によって税率が異なる、同じ食品でも食べる場所・買う個数などによって税率が異なるなど、軽減税率の適用範囲がわかりにくくなるといった問題点が指摘された。

続いて行われた第2部では、第1部の内容を受けて三塚署長と小笠原教授が日本の未来と税の役割について対談した。

三塚署長は「経済協力開発機構(OECD)加盟国と比較すると社会保障は中程度である一方、国民負担は少なくなっているが、その理由の一つとして、赤字公債による将来の国民の負担分がある」と指摘。

小笠原教授も「未来の世代に借金を負担させる今の仕組みは長続きしない」と続けた。この状況を踏まえて、税目別に近年の税収推移や必要な税収を確保するた めの課題が語られ、三塚署長は「社会保障の観点からは、景気に左右されずに安定した税収が見込める間接税の比率を上げていくのが効果的」との考えを示し た。

対談の最後に小笠原教授は「未来の借金となる公債を増やすのではなく、税で負担することを考えないと社会保障制度は維持できなくなる。世代を問わず税金について真剣に考える必要があり、そのために今日の講座を開催した価値がある」と締めくくった。