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3種類のモノグラフ(研究論集)を同時刊行「黒耀石研究センター」活動報告



黒曜石の国際的研究ネットワークづくりの一環として、明治大学黒耀石研究センター(長野県長和町)では2010年に海外の黒曜石研究者の特別講演を実施しました。2011年には黒曜石の国際標準試料と方法論の国際ワークショップを行い、2012年には石器石材を巡る国際シンポジウムを開きました。さらに2013年には、ウクライナ国立科学アカデミー考古学研究所・キエフ国立大学との共同調査を実施しました。

その成果として、最近3種類のモノグラフ(研究論集)を同時に刊行することができ、まとまって世界に成果を問うことができました。センターの基本方針として国際集会を実施する際、成果をどのように世界に発信するかをあらかじめ会議中に決めることにしています。

ベルギーのリエージュ大学考古学研究所の「ERAUL」シリーズは、特にヨーロッパで著名です。2012年の国際シンポジウムの成果は、その第138号と して刊行できました(写真)。ドイツ、ハンガリー、オーストリア、イタリア、ウクライナ、日本の最新の研究成果が載っています。

2013年度の国際共同研究プロジェクトとして取り組んだウクライナ西部の黒曜石原産地遺跡調査については、帰国後の集中作業の結果、明治大学から英語・ロシア語の2言語で2013年度内に刊行できました。

2011年の国際ワークショップの成果は、世界的に著名なB.A.R.(イギリス考古学報告)のインターナショナルシリーズ第2620号として、黒曜石の理化学分析のパイオニアであるイギリスのコーリン・レンフルー卿の序文を得て刊行できました。

黒耀石研究センターの活動は、地元・全国・世界をつなぐ3つの階層を意識的にバランスよく進めることを基本としています。今回、同時に刊行できた国際シンポジウム、国際ワークショップ、共同研究の成果はこの精神に沿って実践した成果のアウトプットの一つです。

現在、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業、明治大学の国際共同研究プロジェクト、センター構成員の科学研究費補助金、国際第四紀学連合 INQUAのプロジェクトなど、学内外の競争的研究費を獲得し有効に組み合わせて研究を進めています。今後も、黒曜石研究の次世代を担う日本および海外の 大学院生、若手の研究者を意識的に開拓しつつ活動する予定です。
(黒耀石研究センター長 小野 昭)

黒耀石研究センター



2000年度の学術フロンティア推進事業「石器時代における黒曜石採掘鉱山の研究」に基づき長野県長和町に設置された、日本で唯一の黒曜石と人類史に関する研究施設。2006年度からは明治大学博物館分館として運営されてきたが、2010年度から明治大学研究・知財戦略機構の付属研究施設として位置づけられ、正副センター長と15人以内のセンター員からなる独立した研究組織として新たなスタートを切った。

明治大学では1984年以来、長門町(現:長和町)との共同で、標高1400m付近にある星糞峠と呼ばれる黒曜石原産地とその周辺の石器時代遺跡(鷹山遺跡群)を継続して発掘調査してきた。これは、石器時代の石器原料として多用されるとともに広範囲(原産地から半径約100~200km)にわたって流通していた黒曜石の特性が、当時の人々の生活や社会を復元するための重要なデータを提供するからである。

センターには資料整理室や資料収蔵室など、埋蔵文化財の収集保管・調査研究にかかわる機能がそろう。また、センターに隣接して長和町立黒耀石体験ミュージアムも設置されている。