本棚『贈与の哲学 ジャン=リュック・マリオンの思想』岩野 卓司 著(明治大学出版会、2500円+税)



本書は、ジャン=リュック・マリオンの、おそらくは日本で最初の入門書である。マリオンは1946年生まれ、現在パリ第四大学で教鞭をとる有名なカトリック思想家である。この本では、パリでマリオンの授業に出席していた著者が、該博な知識を駆使して彼の思想をわかりやすく解説してくれている。

私たちは贈り物をもらった時、お金を払って物を買った場合とは違う複雑な感情を抱く。人の温かさを感じたり、お返しのことを思ったり、周囲に気を遣ったりと、気持ちが動く。それを考えただけでも、「贈与」が人間にとって大きな意味をもっていることがわかる。

「贈与」は他方、認識とは何かを考える哲学者によって、くり返し問題にされてきた。認識は人間から対象への働きかけであるが、働きかけるためには、まず対象が人間に与えられていなければならない。しかし、与えられているとはどういうことか。何から何に何が与えられているのか、つまり、「贈与」されているのか。

マリオンの贈与の哲学は、私たちにあらためていろいろなことを考えさせてくれる。

美濃部仁・国際日本学部教授(著者は法学部、教養デザイン研究科教授)

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