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教養デザイン研究科 「映像資料プログラム」で福島の原発問題を学ぶ

福島の原発問題について講義が行われた

大学院教養デザイン研究科主催・震災復興支援センター協力による第4回「映像資料プログラム」が12月4日、和泉図書館ホールで開催された。同研究科は「教養教育の新しい姿をデザインすること」を目的の一つに掲げ、教育・研究活動を行っている。本プログラムは研究科の特徴の一つに位置づけられ、映像を通じて文理を超えた幅広い分野にかかわる諸問題に触れるとともに、表現手法としての映像、特にドキュメンタリーの特徴を理解することを目的としている。

今回は、NHKが制作した『福島・浜通り 原発と生きた町』(戦後史証言プロジェクト・日本人は何をめざしてきたのか、2014年1月放送)を取り上げた。震災から4年近い時間が流れ、東日本大震災の記憶の風化が叫ばれる今、もう一度東日本大震災、また福島原子力発電所問題を取り上げ、さらには首都圏と東北の“格差”関係や地域振興について考えてみることをテーマにした。1971年に稼働した福島第一原発を中心に、誘致前史、反対運動、誘致による人々の生活の変化、さらには稼働以降震災までを通して、福島浜通りの戦後史が構造的に抉り出された作品である。

当日、ホールには院生をはじめ約60人の聴衆が集まり、シリーズを企画した東野真氏(NHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサー)より、「地方から戦後日本を投影したい」という企画全体の狙いについて、また作品上映後、実際に制作にあたった浜田祐造氏(NHK大型企画開発センター・メインディレクター)より、制作過程やタイトルの意味などについて、それぞれ講義があった。

その中では、「原発の新規増設を求めていく町長をどう考えるのか」、「首都圏の快適な生活を支えている電力が東北地方の原発から来ていることを我々はどう考えるか」という大きな問いかけがなされた。質疑応答では、震災ボランティア活動に実際に携わっている学生から、震災復興に対する考え方、作品へのコメントなどが寄せられ、プログラムは盛況のうちに終了した。

(震災復興支援センター 副センター長 鳥居 高)