本棚『ミッション解析と軌道設計の基礎』半揚 稔雄 著(現代数学社、5,800円+税)



JAXAの探査機「はやぶさ」が、7年という長い年月をかけて小惑星表面からのサンプルリターンを成功させたことは記憶に新しい。しかし、はやぶさが訪れた小惑星イトカワは、太陽からの距離でいうと地球とさほど変わらない「ご近所」の天体である。それなのに、なぜ7年という歳月を要したのか?なぜ打ち上げ時期が2003年5月だったのか?このようなミッション設計の仕組みが天体力学の基礎の部分から丁寧に解説されているのが本書である。力学やベクトル解析に関する初歩的な知識を持ち合わせている読者であれば、宇宙探査ミッションにおける軌道設計の核心部分をより深く理解できることが期待される。特に、煩雑になりがちな軌道要素や座標系など、飛翔体の運動を表現するために必要不可欠な基礎的な概念が、多数の図版と共に明快に解説されている点が素晴らしい。軌道設計の専門家に限らず、人工衛星やロケットのデータを解析する地球惑星科学関連の研究者にも参照用に所蔵をお勧めしたい良書である。

鈴木秀彦・理工学部講師(著者は理工学部兼任講師)

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