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国際日本学研究科 特別講義「ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス」を開催

日本アニメ音楽産業の創生期をひも解く

日本アニメ音楽の礎を築いた藤田氏(右)と氷川客員教授

大学院国際日本学研究科主催の特別講義「ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス —スターチャイルド誕生前後のアニメ音楽業界史—」が1月10日、中野キャンパスで開催され、学内外から100人近い来場者が訪れた。

講師として招かれた藤田純二氏は、1979年のテレビ放映以来日本のポップカルチャーに多大な影響を与え続けてきた人気アニメ作品『機動戦士ガンダム』の音楽プロデューサーを務め、日本初のアニメ専門のレコードレーベルを設立するなど、今日の日本のアニメ音楽産業の礎を築いた立役者。藤田氏は、『ガンダム』のレコード製作にもかかわった本講義のコーディネーター、氷川竜介国際日本学研究科客員教授とともに、『ガンダム』前後のアニメ産業を取り巻く環境について、数多くの貴重なエピソードを語った。

藤田氏が携わるまで、「テレビまんが」のレコードといえば、主題歌と寸劇を収めた子供向けのソノシート(レコードの一種)が大半を占めていた。ところが藤田氏は『ガンダム』の頃に急増した青年層のアニメファンの意見を積極的に取り入れ、それまでレコード化されることがほとんどなかったアニメのBGMをLPレコードにしたり、ジャケットデザインを青年向けにするなど、新機軸を次々と打ち出した。その結果、当時藤田氏の在籍したキングレコード社は、他社の独占状態にあったアニメ音楽への参入に成功しただけでなく、現在へと続く新たな市場を開くこととなった。講義では、そのような『ガンダム』前後の音楽制作や商品開発の変化などについても、詳細に語られた。

さらに講義の最後には、近々公開される『ガンダム』の新作でも、藤田氏が音楽プロデューサーを務めることが明かされた上で、その舞台裏なども紹介された。

会場には藤田氏が製作に携わった数々のレコードのジャケットをはじめとする、多くの資料も展示。講義後には、多数の来場者が当時の貴重な資料を手に取ったり、藤田氏を囲んで熱心に質問するなどの様子が見られた。

(大学院国際日本学研究科 博士後期課程1年 宮本 亮平)