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本棚『現象数理学の冒険』三村 昌泰 編著 (明治大学出版会、3,000円+税)



本学は平成20年度から5年間、文部科学省研究拠点形成事業であるグローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」を推進してきました。「現象数理学」とは本書のカバーにあるように、複雑な社会・自然・生命等の諸現象を解明するため、モデルを構築し、シミュレートするものであり、現象のモデル化(数式化)が重要であります。では、本書が数式で埋め尽くされているかというとそのような事はありません。本書は一般の方々が読みやすいよう、数式による表現は最小限にとどめられ、現象の数理的理解の必要性・重要性とその方法論が語られています。テーマは、金融危機、地球科学、錯視、折り紙、タイル貼り、さらには文化の進化と幅広く、多くの人が自身の興味を見つけられることも特徴といえるでしょう。各章毎に完結した内容であり、参考文献も示されているので、興味がある章から発展的に読むことができます。

明治大学が発信する現象数理学とはどのような学問なのかを本書で感じ取って下さい。

上山大信・総合数理学部教授(著者は先端数理科学研究科特任教授)