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政経2年・加藤さんらの研究グループが消火器の被害低減効果について学会で発表

——効果の数量的証明に画期性

研究発表を行う加藤さん

5月16日・17日の2日間、山形大学米沢キャンパス(山形県米沢市)で開催された平成27年度日本火災学会研究発表会で、政治経済学部2年・加藤穂高さんらの研究グループが「一般住宅火災における消火器の被害低減効果」と題する発表を16日に行った。

発表によると、加藤さんらは2000年から2013年までの14年間に日本全国で発生した住宅火災約12万件を対象とし、消火器の使用の有無、水をかけた場合との比較を行った。その結果、消火器を使用しなかった場合の損害額(中央値)は25万6000円であったが、使用した場合はその3分の1以下の8万3000円となった。また、水をかけた場合では22万3000円となっており、消火器が火災の場面で有効な手段であることを証明した。

かねてより、消火器による被害低減効果がどの程度のものであるのかは、消防関係者にとって関心のある話題であったが、具体的な数値として算出したものはこれまでなかった。今回の研究は、約12万件という膨大なデータを対象に、消火器の使用の有無などで初めて数量的に消火器の効果を証明した点で、画期性の高いものとなっている。

研究チームは明治大、慶應義塾大、東京大などの学部生らで構成され、東京理科大の教授らが指導にあたった。発表後は会場から質問や意見が多く寄せられ、指導教授も発表内容を評価していた。

2013年だけでも建物火災は2万5053件発生しており、そのうち住宅火災は約36%と最も高い比率を占め、損害額でも全体の約45%、死者数では約71%を占めるなど大きな被害をもたらしている(消防白書)。

火災の被害を減らすのに最も重要なのは早い段階での対応だ。しかし、加藤さんら研究グループの試算によると、使用可能な状態の消火器が設置されている住宅は全体の30%程度にとどまるという。研究グループは今後、今回の研究結果を生かしながら住宅火災の減災に向け、取り組んでいく予定だ。