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人文研公開文化講座 芥川賞・羽田圭介氏が対談

講演を行った平尾特別招聘教授 羽田氏(左)と中沢氏による対談

明治大学人文科学研究所は10月24日、第40回公開文化講座「文学と読書の現在—第一線からのまなざし—」を駿河台キャンパス・リバティホールで開催。『スクラップ・アンド・ビルド』で第153回芥川賞を受賞した校友の羽田圭介氏(2008年商卒)が第2部の対談に登場し、会場を沸かせた。

第1部では、平尾隆弘特別招聘教授(前文藝春秋社社長)が「文学とジャーナリズムの間」をテーマに講演。アメリカの大学での銃乱射事件をモチーフにした『33個めの石』や『アンネの日記』などの作品を例に挙げながら、「内なる声から生まれる文学的表現と、外なる声から生まれるジャーナリズムの表現。社会にはいずれも必要」と鋭く分析した。

第2部では羽田氏と、同じく校友である作家の中沢けい氏(1983年政経卒)が「変わりゆく読書風景」をテーマに対談。学生時代の図書館の思い出や快適に読書できる空間について、また、電子書籍やネット書店に対する複雑な思いなどを語り合った。「読書を快適にするために、もっと天井が高い部屋に引っ越したいと思っている」という羽田氏の話に中沢氏も賛同し、「日本は読書のための住環境が悪い」と語る中沢氏の話には、多くの来場者がうなずく場面もあった。

閉会にあたり、あいさつに立った人文科学研究所長の守屋宏則経営学部教授は「電子書籍は好きではなかったのだが、私の著書がネット書店で売れるので認識を変えた」などとユーモアあふれる話で来場者の笑いを誘い、今回の公開講座を締めくくった。