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国際武器移転史研究所設立記念シンポジウム「軍備管理と軍事同盟の〈いま〉を問う」

会場から多数の質問が寄せられた質疑応答 シンポの冒頭、趣旨説明を行う横井所長

明治大学の研究クラスター、国際武器移転史研究所(所長:横井勝彦商学部教授)は11月17日、「軍備管理と軍事同盟の<いま>を問う」と題する設立記念シンポジウムを駿河台キャンパス・グローバルホールにて開催。横井所長や、東京大学大学院経済学研究科の小野塚知二教授ら有識者4人が、それぞれの専門分野・知見から報告を行った。

シンポでは、山本昌弘副学長(研究担当)からのあいさつなどに続き、横井所長が「国際武器移転史研究所の目指すもの」をテーマに第1報告。「社会科学の分野において、人口問題や環境問題といった世界的課題の研究は進んでいるが、軍縮・軍備管理の研究は希薄である」と現状の問題点を指摘した上で、研究所設立に至る経緯や今後の研究課題などについて説明した。

次に、「戦争と平和と経済—2015年の『日本』を考える—」をテーマに第2報告に立った研究所メンバーの小野塚教授は、集団的自衛権や武器輸出三原則改定などに触れた上で、「国家も人もしばしば、兵器や軍事に頼りたがるが、それは真の安全保障にとって、もはや“大いなる幻影”に過ぎない」と指摘した。

続いて、研究所メンバーの佐原徹哉教授(政治経済学部)が「イスラム過激派のネットワークと現行世界秩序の変化」をテーマに、研究協力者の榎本珠良共同研究員(研究・知財戦略機構)が「21世紀の武器貿易は規制できるか—武器貿易条約(ATT)の実施をめぐる課題から—」をテーマに、それぞれ第3、第4報告を行った。

報告終了後には会場との質疑応答が行われ、聴講した研究者や学生から鋭い質問が多数寄せられるなど、シンポの内容の濃さをうかがわせた。


第2回シンポジウムは来年1月19日、「航空機の軍民転用と国際移転を考える」をテーマに開催予定。

国際武器移転史研究所

2015年設立。総合的な歴史研究を通じて、軍縮と軍備管理を阻む近現代世界の構造を明らかにすることを目的に掲げる。同研究所の研究プロジェクト「軍縮・軍備管理と武器移転・技術移転に関する総合的歴史研究」は、文部科学省の2015年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」(大型研究)に採択されている。