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ズームアップ 第547回「井原前監督に捧げる、男子エペ個人ベスト8」

フェンシング部 坂野 守洸



今年の全日本学生選手権では、坂野守洸主将(法4=清風)が大熱戦を制し、故・井原健三前監督との約束であり目標としていたベスト8まで残った。

「本当に何も考えずに真っすぐぶち込んだだけ」。3分×3セットでは勝負がつかず、一本勝負にもつれ込んだ3回戦。対戦相手の根元(拓殖大学)が得点の度に雄たけびを上げ、独特のポーズを取るパフォーマーということもあり、12あるピストの中で唯一行われていたこの試合の行方を会場中が固唾を飲んで見守った。

延長戦開始から23秒。会場がどよめき、根元の雄たけびが上がるも、ドゥーブル(同時突)。勝負が決したのはその10秒後だった。雄たけびを上げたのは、今度は坂野主将。灯ったのはシングルランプだった。「負けたくないという気持ちと、ここでは負けられないという気持ちだった」。熱い思いが乗った坂野主将の剣は、的確に相手を突くと同時に、自身初のインカレベスト8まで届いた。

先日亡くなった井原前監督に捧げるベスト8入りだ。亡くなる直前に「お前は最後の年にベスト8の壁を破って男になれ」と言われていた坂野主将。最後のインカレで結果を残し、井原前監督との約束を果たした。

(さかの・もりひろ 法4 清風 180cm・75kg)

文・写真/柴田遼太郎(商3)