Go Forward

変化に耐えうる足腰の強さを

副学長(スーパーグローバル大学創成支援担当)兼学長室専門員長 長尾 進

入試の季節。Web出願初年度としての志願状況も気になるところである。2007年度から15年度入試までにおいて、本学は9年連続の志願者10万人超を実現している。しかしながら、こうした状況がいつまで続くかは不透明・不確実であろう。ここ数年横ばいであった18歳人口が2018年から31年まで長期にわたって下降するとみられ、大学進学者数も約17万人減少すると推計されている。加えて、2016年度からは私立大学等経常費補助金不交付の基準が段階的に厳格化され、2019年度から入学定員充足率が1.0倍を超えた場合、収容定員・超過数に応じた学生経費相当額の減額措置導入が示されている。そうしたなか、本学はどのような方向性を見出し、どのような大学であろうとしているのだろうか。

ここ20年近くの本学の歩んできた道筋は、けして誤りではなく成功であったといえよう。リバティタワーに代表される駿河台地区の再開発と都心型大学イメージの醸成、国際化推進、研究推進、新学部・新研究科の創設、各学部等における特色あるカリキュラムの構築、大型GP・外部資金の獲得、広報体制の強化、これらのことが本学のブランディングを押し上げ、今日の評価や志願者数につながっていることは誰もが認めるところであろう。一方で、本学の財務状況は再建途上の状況にある。また、4、5年前と決定的に違うのは、経済誌などにおいて消費収支計算書や貸借対照表を含めて大学の財務状況が公表される時代になったということである。本学の評価にとって、けして軽視していいことではあるまい。

日本の大学をめぐる状況は、大きく変容してきている。中高生やその父母の中には、日本の大学ではなく、最初から海外の大学を目指す志向性も生まれてきている。語学についても、4技能(聞く・話す・読む・書く)それぞれにトレーニングを受けた受験生がいずれ多数を占める日がくるであろう。また、欧米の大学はもとよりアジア諸国の大学においても国際化推進は進んでおり、教員や学生の交流はさらに拡大している。こうした潮流に耐えうる大学でなければ、今後名誉ある地位を確保することは難しいであろう。

とはいえ、海外の高等教育情報誌等のランキングで上位に入るなどは、本学が進むべき方向性として現実的ではあるまい。国際化の更なる推進、研究の高度化とその発信、それらの教育への還元、各学部・研究科における3ポリシーと実際のカリキュラムの整合性の検証、入試改革の動きへの対応、時代の変化に応じた新学部の検討や大学院組織の見直し、こうした事柄についてタブーを排した議論・検討を行い、持続可能性の高い財務状況の実現も含めて、高等教育の大きな変化に耐えうる足腰の強さを再構築する必要があろう。容易なことではないと承知しているが、明治が生き残るために、避けて通れない道であると強く思う。(国際日本学部教授)