本棚「近代ユーラシア外交史論集 日露独中の接近と抗争」三宅 正樹 著(千倉書房、7,200円+税)



本書は「日露独中の接近と抗争」という副題のとおり、外交は多角的かつ重層的に見よ、という態度に貫かれている。それは外交上の「接近と抗争」について、歴史的・文化的背景はもちろんのこと、地理的に大きく離れた動きに注意を払え、ということである。著者による多くの研究書にあるように、日独伊三国同盟には、ソ連を含めることにより、世界の既得権益を独占している旧大陸の英仏や新興巨大勢力である新大陸のアメリカに対抗する同盟となる契機があったとする。このような透徹した見方を可能とするのは、綿密な資料の裏付けに加え、欧米と日本の研究の橋渡し役の経験により培われたリアリズム認識と欧露中をまたぐユーラシアを俯瞰する視点である。この大陸の東西での外交の連動は、第二次世界大戦期はいうまでもなく、スターリン批判後の中ソ紛争とソ連と西独との緊張緩和の関連性などにもみられる。日露外交を軸としながら、時間的にも空間的にもかなりの射程をもつ多様なインスピレーションが得られる書となっている。

外池力・政治経済学部教授(著者は名誉教授)


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