Go Forward

世界・社会に開かれた大学

大学院長 坂本 恒夫
2016年度がスタートした。

明治大学は、土屋恵一郎・新学長の下、新たな時代を迎える。土屋新学長は、学長立候補の所信表明で、「研究・教育の世界化を視野に」と訴えた。

これからの大学は門戸をまず世界に広げなくてはならない。これまで大学はおもに18歳の日本の若者に照準をあわせてきた。当然のことである。学部の新入生の多くは18歳の日本人であるし、在学生の多くは18から23歳までの日本人の若者だ。今年も11万人近い受験生が明治大学を受験してくれた。これは、18歳の日本の若者が何を勉強したいのか、教職員がニーズをしっかりと掴み、新学部の設置や教育カリキュラムなどを改革してきた賜物だ。これからも、これまでと同様、若者のニーズをいち早く読み取り、改善・改革を継続していかねばならない。

しかし、これからの新しい時代では、日本の18歳世代の若者のニーズだけに配慮しているのでは不十分だ。アジアに、そして世界に視野を広げて、世界の若者のニーズも把握していかねばならない。世界の若者は日本の技術や文化に対して強い関心を持っている。こうした若者に学習の機会を与えていくことは、日本の大学の使命であり責任だ。英語だけで卒業できるイングリッシュ・トラックや世界の若者向けに多様な履修科目を整備することは、緊急の課題である。

明治大学が世界に視野を拡げるならば、日本の受験生に求めるものも変化していく。私の所属する経営学部では2017年度入試から一般入試の一部に、英語の4技能(読む・書くに加えて聴く・話す)の外部試験導入を決めた。これからの明治大学の英語教育は世界を意識した実践的なものに変化していく。

明治大学が照準を据えるのは世界の若者だけではない。社会人に対してでもある。フィンテックや高度インフラビジネスの登場など急激に進行する産業構造の高度化・IT化、そして国際化の中で、社会人の多くは、もう一度大学や大学院で専門の勉強をしたいと思っている。経営学研究科では社会保険労務士が再入学し、マネジメントコースでより高い・より幅広い専門技術を学習している。本年度からは加えて企業診断士の再入学も始まる。これからは、社労士や診断士だけではなく、企業で働く多くの人の学習ニーズももっと高まっていくであろう。留学生だけではなく、社会人・職業人の再学習コースを整備することもしっかりとやっていかねばならない大切な課題である。

明治大学は、世界、そして社会という大海原に船出した。大学構成員全員の英知を結集し、開かれた世界そして社会のニーズに応えていかねばならない。航海は厳しいが、海のむこうには未来が開けているのである。
(経営学部教授)