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国際総合研究所(MIGA)国際シンポ2016「中国はどのような『大国』か?」

基調講演を行う自民党の高村副総裁 議論が白熱したパネル・ディスカッション

明治大学国際総合研究所(MIGA)は4月25日、東京財団との共催による国際シンポジウム2016「中国はどのような『大国』か?—Do We Know China Well Enough?」を駿河台キャンパス・グローバルホールで開催。中国のみならずアジア太平洋の国際情勢を知り尽くす日米中ASEANの論客の声が聴けるとあって、会場は満席となった。

中国をめぐっては、日本では日中二国間関係の視点で議論されることが多いなか、本シンポでは特定の国家間関係にとらわれず、より広い視点から「大国」中国の現状や今後を深く理解し、日米中ASEANなどが複雑な相互依存関係を織りなすアジア太平洋地域の平和・安定・発展にとって、どのような含意を持つのかが議論される場となった。

シンポはまず、日本と中国の友好を下支えする民間での日中交流の大切さを述べる土屋恵一郎学長の開会の辞から始まった。その後、外務大臣、法務大臣、防衛大臣などを歴任した高村正彦自民党副総裁が「平和安全保障法制—日本とアジア太平洋の平和」をテーマに基調講演。

続いて「政治・社会」をテーマとした第1部パネル・ディスカッションが行われ、モデレーターを務めた川口順子研究・知財戦略機構特任教授[元外務大臣]のもと、王逸舟氏[北京大学国際関係学院副院長]▽菱田雅晴氏[法政大学法学部教授]▽エフィ・フィトリアニ氏[インドネシア大学国際関係学部長]▽エリック・ヘギンボサム氏[MIT(マサチューセッツ工科大学)国際関係研究所主席研究員]▽宮本雄二氏[宮本アジア研究所代表/元中国大使]のパネリスト5人が議論を展開。中国共産党がその統治を継続するためには、進展するグローバル化を前提とした外交政策と、それに整合した国内改革および不満への対応が重要であることが、議論の焦点となった。

続く第2部では、林良造研究・知財戦略機構特任教授[MIGA所長]がモデレーターを務め、「経済」をテーマに、柯隆氏[富士通総研主席研究員]▽肖耿氏[香港大学経済・商工業管理学院教授、社会科学院教授]▽津上俊哉氏[津上工作室代表/元経産省通商政策局北東アジア課長]と第1部パネリストのフィトリアニ氏、ヘギンボサム氏の5人がパネリストとして登壇。先進国型経済の確立に向けた構造改革をいかに進めるか、そこでの障害が何なのかなど、今後の中国の経済政策の展開について楽観論から厳しい見方まで多角的な分析が示された。

シンポジウムの概要を記した報告書、ならびに当日の動画は国際総合研究所(MIGA)のHPにて近日Web配信の予定。