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明治大学×100分de名著 トークイベントを開催

「日本の古典と文化・芸能をめぐって」

息の合ったトークで古典芸能の魅力に迫った

NHKの人気番組「100分de名著」。この番組の出演者である土屋恵一郎学長と中沢新一特任教授(研究・知財戦略機構、野生の科学研究所所長)によるトークイベントが、6月25日、駿河台キャンパス・グローバルホールで開催された。

これは、土屋学長が同番組で解説した「能楽師・世阿弥」の内容が、『世阿弥 風姿花伝』として刊行されたことを契機として、NHK出版が企画したもの。中沢特任教授も、同様に『「日本人」とは何者か?』をテーマにNHK出版から著書を発刊している。

トークイベントの前半は、土屋学長が「能と世阿弥とイノベーション」、中沢特任教授が「古典芸能の宇宙」と題してそれぞれ講演を行った。30年来、能楽プロデューサーとして活動してきた土屋学長は、世阿弥の作品「風姿花伝」の一節を紹介しながら、新しい視点から能楽に触れることの醍醐味を紹介。常に新しいもの、珍しいものを追求して優れた作品を生み出してきた世阿弥の姿は「現代社会におけるイノベーションに通ずる」とし、14世紀に活躍した世阿弥の魅力を解説した。続いて中沢特任教授は、日本の農村に受け継がれる精神性や文化が、時代の大転換によって失われ、新しいものが生まれるといった表裏一体の社会構造を例に挙げ、「それを芸術の中で見事に表現したのが世阿弥だった」と評した。

対談では、「日本の古典と文化・芸能をめぐって」をテーマに、古今東西の芸術家や作家、作品、伝統文化について縦横無尽に話題が展開。「能は難しい」といった固定観念が一般にある中、中沢特任教授は「映画のように可視化できない、表現できない世界が能にはある」と語り、土屋学長は「物語の背景や面白さなど、新しい視点で能の魅力を掘り起こしていきたい」と現代における能と自らの役割について思いを込めた。