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明治大学都市政策フォーラム「オリンピックと都市~2040年代東京の将来像~」を開催

パネルディスカッションでは白熱した議論が展開された ロンドン五輪の解説を踏まえ講演したジョン・ゴールド教授

公共政策大学院ガバナンス研究科の修了生で組織する「明治大学都市政策フォーラム」は6月23日、「オリンピックと都市~2040年代東京の将来像~」と題したシンポジウムを駿河台キャンパス・アカデミーコモンで開催(共催:東京新聞)。一般受講者や修了生ら約100人が来場した。

第一部では、まず、英オックスフォードブルックス大学のジョン・ゴールド教授が講演。都市歴史地理学が専門で、五輪と都市、社会との関係について長年研究している同氏は、2012年ロンドン五輪の問題点や特徴、成果や課題について解説。五輪のレガシー(遺産)については、都市や社会に変化をもたらす触媒としての機能を生かすべく、市民を含めて開催前から十分に議論することの必要性を説いた。

続いて岸井隆幸日本大学教授は、公共交通機関の整備に加え、多くの人が参加する五輪について「社会とつながりを持ち、もう一度、自分たちがどういう社会をつくるのか考える機会にすべき」との考えを示した。また、今回は臨海部で行われる競技が多く開催されることから、「“東京の水”という視点からPRすることも大切」と訴えた。


東京都専門委員で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与の安井順一氏は、五輪を契機に鉄道、道路の長期的な計画が動きだし、羽田空港の機能も向上することなどを紹介した上で、ソフト面についても話題を展開。多様化する現代において、日本人と外国人、健常者と障害者、高齢者と若者など、「広い意味でバリアフリー社会を実現することができれば、素晴らしいレガシーになる」と述べた。

青山やすしガバナンス研究科特任教授は、つくばエクスプレスの臨海副都心への延伸に加え、成熟社会に達した東京で最も欠けている文化・芸術のインフラ整備について、「スポーツ、エンターティメント、ミュージック、アートなど成熟社会の進行に対応する都市の変化が求められる」と紹介。さらに、海の森にできるボート競技場をはじめ臨海副都心を中心に「東京の都心軸が変化する」ことを強調した。

第二部は、青山特任教授の司会進行で4氏によるパネルディスカッションを実施。高齢化、人口減少、経済低成長、生活の質の豊かさの追求など成熟社会特有の現象をテーマに、2020年の東京五輪を契機に日本の社会がどう変化していくかなどについて、場内からの発言を含め討論が行われた。

ガバナンス研究科の修了年限は2年だが、修了後も政策の議論を重ね研鑽を積んでいくため、修了生によって今回このシンポジウムを開催した都市政策フォーラムやガバナンス政策研究ネットワーク等が組織されている。

青山 やすし(ガバナンス研究科特任教授)