本棚「共にあることの哲学 フランス現代思想が問う〈共同体の危険と希望〉1理論編」岩野 卓司 編著(書肆心水、3,300円+税)



本書は、フランス現代思想に「来るべき共同体」の可能性を探った野心的論文集である。七人の論者たちはサルトル、バタイユ、レヴィナス、ブランショ、ナンシー、デリダ、フーコー、ドゥルーズといった錚々たる思想家たちの言説を手掛かりに、従来の有機的共同体に回収されない「未来の共同体」をそれぞれ構想している。たとえば、「無為の共同体」(ナンシー)、「首長なき共同体」(バタイユ)、「明かしえぬ共同体」(ブランショ)、「言語によって創設される人間的共同体」(レヴィナス)などがそれである。そこに通底しているのは、個人がその単独性を失うことなく、いかにして共同しうるかという問題意識である。読み進めながら、私は思わずかつての全共闘運動時代によく目にした「連帯を求めて、孤立を恐れず」を思い出した。とはいえ、こうした「未来の共同体」をどのようにして現実社会のなかで実現してゆくのか。フランス現代思想特有のアクロバティックな「思惟の戯れ」に終わることはないか。「実践・状況編」の一刻も早い刊行が待たれる。

田島正行・法学部教授(編著者も法学部教授)

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