Go Forward

竹林が日本を救う「竹炭シンポジウム in 川崎」を黒川農場で開催

シンポジウム前には竹炭製造の実演も行われた 竹炭の効果に迫った藤原特任教授の基調講演

荒れた竹林を資源化し、健全な森に再生するための知恵を地域住民らと共に考える「竹炭シンポジウムin川崎」が9月14日、明治大学黒川農場(神奈川県川崎市)で開催された。

これは、明治大学と川崎市が農業研究や山林の保全、農業体験・交流などを通じて、同市黒川地区における地域づくりの推進に取り組む「黒川地域連携協議会(地域活性化検討専門部会)」とNPO法人K-BETSが主催したもの。黒川農場の敷地内の里山にも竹林があり、このたび同地での開催が実現した。当日は、地域住民や農業従事者など約100人が集まり、環境保全や竹炭の資源活用について理解を深めた。

シンポジウムでは、「竹炭の農業利用」をテーマに、農場の藤原俊六郎特任教授が基調講演。竹林の拡大により森林の荒廃が全国的に進み、景観や生態系保全に影響が出ている一方で、竹の有効活用が進まないとった現状を冒頭紹介した。さらに、各種の研究成果を踏まえ、竹炭の成分分析や農業利用した際の土壌への影響、期待される竹炭の効果についてわかりやすく解説し、「明確に効果があるとは言い難いが、適切に活用すれば作物の生育はもちろん、地球温暖化にも寄与する可能性がある」と締めくくった。

続いて行われた事例発表では、「川崎市の緑地保全施策と里山の再生に向けて」をテーマに川崎市麻生区役所道路公園センターの鈴木直仁所長、「千葉県長生郡市における竹林整備活動と大型炭化炉による竹炭づくり」についてNPO法人竹もりの里・鹿嶋與一理事長がそれぞれ登壇し、これまでの取り組みや課題、今後の展望などについて説明した。他にも、「竹炭による土壌改良実験結果」や「家庭で竹炭を使った有機野菜栽培と花作り」などより具体的な活用事例も紹介され、質疑応答も行われるなど、参加者たちは興味深そうに聞き入っていた。

実際に竹林を所有しているという参加者の男性は、「同じ悩みを抱える方からの話を聞くことができてよかった」と、有意義な時間を過ごせた様子だった。