本棚「戦後日本首相の外交思想 吉田茂から小泉純一郎まで」竹内 桂ほか 著(ミネルヴァ書房 4,500円+税)



日本国憲法73条は内閣が担う職務内容として、「外交関係を処理すること」を挙げている。内閣を代表する首相が外交に及ぼす影響力は、戦前に比べて格段に高まったのである。本書はその認識の下、吉田茂から小泉純一郎までの主要な首相17人の外交思想を論じている。本学が輩出した三木武夫・村山富市両首相についても、それぞれ一章ずつが割かれている(竹内桂および薬師寺克行がそれぞれ執筆)。

三木の外交思想の基軸は日米関係であった。フォード大統領と会談して親交を深めたとの確信が、三木によるロッキード事件の徹底究明を後押しした。また、日中平和友好条約の締結に骨を折り、仏ランブイエでの第1回サミットでは南北問題の是正を訴えた。これらはもっと評価されるべきだ。一方、村山の外交思想は戦後50年談話に明らかである。「独善的ナショナリズム」を戒めたこの「日本外交にとっての大きな資産」は、本学の誇りでもある。1995年1月の日米首脳会談で村山が在沖米軍基地の返還を求めたことは、後の普天間基地返還合意の伏線になった。

西川伸一・政治経済学部教授(著者は政治経済学部兼任講師)

上へ戻る

明治大学 MEIJIUNIVERSITY

© Meiji University,All rights reserved.