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ズームアップ 第562回「変わりゆく時代の中で」

応援団 第95代団長 細谷 一誠



第95代団長を務めた細谷一誠(政経4=川越)が昨年12月、引退を迎えた。

高校まで吹奏楽部に所属していた細谷は、六大学野球が間近で見られるという理由で応援団吹奏楽部に入部した。そこで待っていたのは厳しい世界。上下関係はもちろん、肉体的な疲労は想像を超えるものだった。4年次に団長に就任し神宮球場の晴れ舞台に立つも、苦しい日々は続いた。「家に帰ったら一目散に学ランを脱いでいました」。それでも「他の運動部の方が大変なことをやっている」と弱音は吐かなかった。試合後に各部の主将が感謝を伝えに駆けつけてくれることが、何よりの励みになった。

時代とともに変わりゆく応援団。武骨なバンカラ気質、体罰も辞さないスパルタ指導、酒やタバコも豪快に…。そんな世間のイメージはもう古い。「何を変えて、何を残すかは毎年の課題」(細谷)。応援団にしか通用しない礼儀は徐々に減らし、社会に通用するマナーへ。学業と部活の両立ができる体制へ。監督やコーチとも相談を重ね、時代に適した形を模索した。「30年前の先輩と40年前の先輩が言う『俺たちの時代』ですら違う。だが、それぞれの世代で誇りを持っている」。その誇りを胸に、次の世代にバトンを託す。

2017年、また一つ殻を破る。新団長に就任したのは新宅杏子(政経3=日比谷)。女性団長は東京六大学史上初となる。今年のスローガンは「改革」。細谷は「少しずつ前に進んできている。今年はもっと変わってくれる」と後輩たちに期待を込めた。
(ほそや・いっせい 政経4 川越 176cm・64kg)

文/星川 裕也(法2) 写真/明治大学応援団提供