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本棚「東アジアとアセアン諸国のコーポレート・ガバナンス」三和 裕美子 編著(税務経理協会、2,800円+税)



本書は、本学の国際総合研究所が企業活力研究所からの委託により、2014年度から2015年度に行った「ASEANを中心とした新興国のコーポレート・ガバナンス」の研究成果である。日本のコーポレート・ガバナンスの現状に加え、韓国、中国、台湾、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアについて、「企業環境」「内部統制システム」「外部ガバナンス」「社会における企業」の項目から各国の比較ができるので、本書は、コーポレート・ガバナンスに関する貴重な資料となっている。昨今のコーポレート・ガバナンス研究では、内部統制を中心に取り上げることが少なくないが、本書ではそれに加え、証券市場や法的規制の状況などの外部環境、株主行動主義やM&Aなどの外部からのガバナンスへの関与、社会的責任や汚職などの問題も取り上げられ、東アジアとASEAN諸国におけるコーポレート・ガバナンスを包括的に捉えることができる。なお、本書の執筆には、本学商学研究科の若い研究者も加わっており、今後の研究の発展も期待できる。

出見世信之・商学部教授(編著者も商学部教授)