本棚「アメリカ分裂——数字から読みとく大統領選挙」井田 正道 著(明治大学出版会、1,900円+税)



本書は著者自身の2012年から2年間の滞米経験をちりばめながら、各種の「亀裂」を示す数字を根拠に、これまでの大統領選挙を分析したものである。その際、州ごとに緻密な考察がなされている点が興味深い。たとえば、2000年の大統領選挙の決着をつけたフロリダ州は、その後も選挙結果を左右する重要州であり続けている。オバマが再選された2012年の大統領選挙では、対抗馬のロムニー陣営はフロリダに最も多くの選挙事務所を置いた。オバマ陣営も広告費を一番注いだ州はフロリダだった。また著者は、アメリカ政治の今後を予測する上でフロリダを含む南部に注目すべきだと主張する。南部は多くの人口を擁し、さらに人口増加率も高い。特にヒスパニック人口が急増している。それは各州に人口比で割り当てられる大統領選挙人の数に、ひいては大統領選挙の帰趨に直結する。

人種構成ばかりか、様々な分裂線がアメリカ社会を貫いている。本書はそれらを丁寧に取り上げる。トランプ当選は分裂の深刻さを実感させた。まさに時宜を得た好著である。

西川伸一・政治経済学部教授(著者も政治経済学部教授)

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