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“発禁本”の書誌目録を出版『明治大学図書館所蔵 城市郎文庫目録』

「表現・出版の自由の大切さを考えるきっかけに」と山泉図書館長(左)

明治大学図書館は、著名な発禁本の蒐集(しゅうしゅう)家である故・城市郎(じょういちろう)氏旧蔵書の書誌目録『明治大学図書館所蔵 城市郎文庫目録』をこのほど出版した。

3月28日、駿河台キャンパスで行われた記者会見には、山泉進図書館長と目録の監修を務めた中京大学文学部の浅岡邦雄教授が出席。駆けつけた多くの報道陣を前に山泉図書館長は、「『権利自由』を建学の精神とする明治大学に城市郎氏の蔵書が寄贈されたことはとても縁深い」とした上で、「目録出版をきっかけに表現・出版の自由の大切さについて考えてほしい」と述べた。続いて、浅岡教授が出版検閲の歴史について説明を行い、目録の見どころや寄贈図書について解説を行った。

『明治大学図書館所蔵 城市郎文庫目録』

目録は図書館総務事務室にて販売中

2011年に、城市郎氏から寄贈を受けた9237点(発売禁止や削除などの処分を受けた書物約1600点を含む)の蔵書について、2012年から目録化に取り組み、このたび出版検閲の歴史を示す「城市郎コレクション」の目録として出版。

蔵書の中には、華厳滝に飛び込んだ旧制一高の学生、藤村操を詐称した偽書で現在数点しか所在が確認されていない奇書『煩悶記』をはじめとする“受難”の書籍が多数含まれており、それらの著者名、書名等を目録としてまとめた。

「城市郎コレクション」は引き続き、学内外の研究利用、博物館等での展示、出版掲載利用に向けて準備を進める。