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リバティアカデミー 数理科学の魅力がつまった講座「未来をつくりだすための技術」を開催

明治大学の生涯学習機関・リバティアカデミーは4月22日、「未来をつくりだすための技術~先端数理科学研究科の新たな取り組み~」と題した公開講座を中野キャンパス・5階ホールで開催した。中野キャンパスで展開される大学院先端数理科学研究科には、今年度から「先端メディアサイエンス専攻」と「ネットワークデザイン専攻」の2専攻が新設。本講座では、これらの専攻で研究が進む“未来をつくりだすための技術”を4人の教員が紹介した。

最初に宮下芳明教授が「表現の民主化、ものづくりの未来」をテーマに講演。「最新技術に親しみを持ってほしい」と、全天球カメラや小型ドローンなどの最新機器を紹介し、研究室で開発した製品を披露した。また、従来は本や音楽などの表現を享受する側であった消費者が、コンピュータを使って自ら表現する「創造的生活者」となる事例を紹介し、「技術や表現力は上がっているが、その敷居を下げることを使命として研究している」と語った。

続いてヒューマンインタフェースを研究する渡邊恵太准教授が「〈自分〉の境界から考える体験のデザイン」をテーマに講演。コンピュータも身体の一部のように使えるようにするためにはどうしたらよいかという課題に対し、マウスを動かす手と画面内のカーソルの動きを連動させる実験の例を紹介しながら「自己帰属感」というキーワードについて解説した。

3人目に登壇した五十嵐悠紀専任講師は「コンピュータを用いた手芸設計支援」がテーマ。コンピュータ上でぬいぐるみの完成形をデザインすると、製作に必要な型紙が物理シミュレーションにより生成されるシステムを披露し、「物理的な制約はコンピュータが解いてくれ、ユーザーはデザインに注力できる。最先端の製造業にも応用が可能」と今後の展開を見据えた。

最後に福山良和教授が「低炭素社会を実現するスマートコミュニティ」をテーマに講演。街全体のエネルギー需給バランスを最適化させるスマートコミュニティについて解説し、富山市をモデルに640種類の設備をシミュレーションした事例を紹介。「社会をネットワークとして理解して、社会に役立つような技術を開発したい」と抱負を述べた。

未来につながる最新の研究に来場者の関心も高く、各教員の講演が終わるたびに会場は大きな拍手に包まれていた。

先端数理科学研究の魅力を伝える4人の教員 (左上)宮下教授(左下)福山教授(右上)渡邊准教授(右下)五十嵐専任講師