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特別講演会「統計科学のフロンティア」を開催

シカゴ大学統計学部長らが先端研究を紹介

統計科学の最先端を紹介したニコラエ氏

総合数理学部と先端数理科学インスティテュート(MIMS)は5月27日、特別講演会「統計科学のフロンティア」を中野キャンパスで開催した。

米国・シカゴ大学統計学部長のダン・ニコラエ氏と、MIMS所員で統計数理研究所および総合研究大学院大学の名誉教授である北川源四郎氏を講師に招き、ビッグデータ時代における統計科学・データサイエンスの展望について理解を深めた。

はじめに登壇した北川氏は、「ビッグデータ時代の方法論:統計科学とデータサイエンス」をテーマに講演。情報通信の飛躍的発展を背景に蓄積されているビッグデータが、社会に与える影響を具体的に説明した上で、新しい科学として「データサイエンス」を位置付け、大学における研究・教育と産学協同での専門家育成の重要性、さらにはビッグデータを広く活用するための共同利用基盤施設の状況など、複眼的視点からビッグデータ時代の現状と展望を語った。

続いて、ニコラエ氏は「On Research and Education in Statistics and Data Science: Lessons from Disease Genetics」と題し、専門の遺伝統計学を中心に話題を展開。個人毎に解析されたゲノムデータ(全遺伝子データ)に加えて、生活環境や病気・投薬の履歴、さらに皮膚に付着している微生物のゲノムなど、膨大なデータから疾病の原因となる危険因子を統計的に検証する方法について、詳細に説明した。結びには、米国の著名な大学においても「データサイエンス」の重要性が強く認識され、大学組織も生まれ変わりつつある現状が紹介された。

講演終了後も、参加者が講演者を囲んでしばらく討論するなど、盛況なうちに終了。学内外から集まった約70人の参加者たちは、統計科学の最先端の講演に熱心に耳を傾けていた。