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地域産学連携研究センターから「外出支援ロボット」が誕生

公開された外出支援ロボット 運転支援機能を備えた走行で注目を集めた

生田キャンパス・地域産学連携研究センターを拠点に、理工学部・黒田洋司教授のロボット技術を応用した研究が進められていた、高齢者にとって安心安全な「外出支援ロボット」がこのほど、(株)トーキンオール(川崎市)、神奈川県立産業技術総合研究所、川崎商工会議所、川崎市産業振興財団、神奈川県中小企業団体中央会によって共同開発された。

この外出支援ロボットは、黒田教授の高度な自律移動ロボット技術を応用し、障害物や下り段差の回避機能、操作の誤りを防ぐ運転支援機能を搭載した新しい形のハンドル付き電動車いす。特殊な6輪機構を備え接地性・走行安定性にも優れており、高齢化社会に向けて、足腰が弱ってきている方の外出支援や、自動車運転免許返納者の移動手段としての実用化を目指している。

今回の開発は、神奈川県内の「さがみロボット産業特区」が企業や大学などの技術を最適に組み合わせて商品化を目指す「神奈川版オープンイノベーション」による共同開発プロジェクトとして本格化。黒田教授の研究シーズを基に、トーキンオールが試作車の開発を主導した。同社は2014年に明大との間で共同研究を開始し、昨年7月より生田キャンパス内にある地域産学連携研究センターを拠点とすることで、黒田教授らとの研究密度が向上。今回、製品化に向けた第一段階として、走行デモンストレーションを行うまでに至った。

7月20日、生田キャンパス・地域産学連携研究センターの多目的室で行われたデモンストレーションでは、下り坂や段差などが設置された仮設のコースを技術者の運転で走行し、障害物を認識して停止するシステムや6輪の安定性など、従来型の電動車いすにはない特殊性が披露された。

今回の公開に際し黒田教授は、「高齢者にとって簡易な操作で走行できる便利なものを作るために自分の研究が応用できると思った。製品化に向けて越えるべき山は多いかもしれないが、近い将来、多くの人の役に立つことができるのではないかと楽しみにしている」と今後の展開に期待を示した。

地域産学連携研究センター

明治大学が有する技術シーズ・知的資源を有効活用し、川崎市をはじめとする神奈川県域における新技術・新事業の創出、地域中小企業を育成する産学連携促進事業の実施、起業・経営セミナーなどの開催、地域中小企業者・住民への施設の貸し出しなどの地域連携交流を促進することを目的として、2012年4月に生田キャンパスに開設。テクノロジーインキュベーション室や試験分析・試作加工装置をはじめ、地域産学連携に資する設備を整え、大学発ベンチャー企業も複数入居している。