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大学史資料センター 公開講演会「雑誌道楽 山崎今朝弥」を開催

山崎の人物像を解説する山泉教授

明治大学史資料センター(所長:山泉進法学部教授)は7月5日、公開講演会「雑誌道楽 山崎今朝弥」を駿河台キャンパス・リバティタワーで開催した。

講演会では冒頭、司会の村上一博法学部教授(大学史資料センター運営委員)から、これまで大学史資料センターで進めてきた山崎今朝弥研究の足跡とともに、山崎の奇人としてのエピソードの数々について披露された。続いて、大学史資料センターの飯澤文夫研究調査員(元本学職員)が、山崎が編集や発行人として関わった雑誌の全容について解説。そのほとんどは、今日では希少価値が極めて高くなっていることなどが紹介された。

最後に登壇した山泉教授は、山崎の思想形成や交友関係を紹介するとともに、著書『山崎伯爵創作集』を中心に彼の独特で難解な文章の一端を紹介。特に、関東大震災後に憲兵大尉であった甘粕正彦らが、社会主義者の大杉栄らを虐殺した「甘粕事件」を素材として、当時の社会背景などを解説しながら、人権蹂躙に抗議する山崎の姿勢について報告するなど、人権派弁護士としての活躍に理解を深めた。

山崎 今朝弥(1877-1954)

山崎 今朝弥 出典『日本弁護士総覧』(1911年)

長野県川岸村(現岡谷市)に生まれる。1901(明治34)年、明治法律学校を「優待生」で卒業、判事検事試験と弁護士試験の両試験に合格したが、同窓の布施辰治とともに人権派弁護士として活躍した。アメリカ留学の経験から「米国伯爵」を自称するなどの独特の言動から奇人として知られている。『法律文学』・『平民法律』・『解放』(第二次)など数多くの雑誌を創刊したことでも有名である。