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リバティアカデミー 坂東玉三郎講演会 —演じるということ2017—

土屋学長(左)との対談で熱っぽく語った玉三郎さん

明治大学リバティアカデミーは7月26日、歌舞伎俳優で重要無形文化財保持者(人間国宝)の坂東玉三郎さんを迎えた公開講座「坂東玉三郎講演会—演じるということ2017—」を開催した。今年で6回目を迎えた講演会には、学生や玉三郎ファンら約800人がつめかけ、会場の駿河台キャンパス・アカデミーホールはほぼ満席となった。

第一部は玉三郎さんによる講演。「演じるということ」について、「体、声など自分が現世で用意できるものに、人生や魂を乗せる。どこまでが自分なのかわからなくなり、その役に届いていく。すると、作家や役者の生き様が見えてくる」と独特の解釈を披露した。

続いて、第二部は日本の古典芸能に造詣が深い土屋恵一郎学長との対談。昨年の講座でも対談した二人の息の合った滑稽洒脱な掛け合いに、会場からは笑いや感嘆のため息が漏れた。土屋学長は、歌舞伎界を代表する女形である玉三郎さんの演じる『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』「十種香」の八重垣姫を例に挙げ、「坂東玉三郎という肉体から離れ、役に完全に入り込む瞬間がある。その美しさが感動を呼ぶのだ」と絶賛。これに対し、玉三郎さんは「肉体を完全に制御しなければならない。だから稽古することが大切」と演技への想いを熱く語り返した。

対談の最後には、「玉三郎さんに学生の相談に乗っていただきたい」という土屋学長の提案を受け、来場者との「学生相談室」が開講。周りの評価をどのように捉えたら良いか問われた玉三郎さんは「役者を駄目にするには褒めれば良いと習った。褒められたいのが役者の性分だが、褒め言葉を信じ過ぎず、日々精進していくことに尽きる」とアドバイスするなどたくさんの質問が寄せられた。会場から大きな拍手が贈られ、2時間弱に渡って優美な玉三郎節に酔いしれた講演会は幕を閉じた。