論壇「財政の健全化に向けて」

財務担当常勤理事 中里 猛志

現在、私立大学を取り巻く経営環境は厳しいものがある。18歳人口の減少傾向と学生確保の問題、国の経常費補助の減少傾向、大学の国際化及び留学生交流のための財政的支援、大都市圏への大学の一極集中に対する国の入学定員超過率の厳格化等の規制強化といった多くの課題があげられる。

私立大学は国からの経常的補助を受けるなど高等教育の一翼を担う公共性の高い組織であるが、独自の建学精神を持った自主性の高い独立した経営体でもある。従って自らの力で資金を調達し、大学を経営していかなければならない。学校法人は必ずしも営利追求を求めるものではないが、教育研究を継続するためにも、ひいては大学自体の存続のためにも財政が健全であることが必須条件となる。

ところで財政が健全かどうかは何を見れば判るのか。

毎年度公表される決算書の「事業活動収支計算書」を見ることで学校経営の収支構造の健全性(経営の収益力)を判断することができる。基本金組入前当年度収支差額(以下、帰属収支差額)は一般の事業会社の純利益に相当するものであるが、これがプラス状態であることが、収支構造の健全性を計る判断材料となる。

本学の収支構造を見ると、全事業活動収入(2016年度525億円)の74%が学生からの納付金であり、10%が補助金である。また支出は60%が人件費であり、規程・契約等に基づく経費と合わせると80%近くが固定費となっており、弾力的な経営方針に対応しにくい収支構造になっている。

2016年度決算では帰属収支は14億円のプラスとなった。プラスの要因は2016年に完成年度となる総合数理学部の学生数増等による学納金収入増、入試志願者の増加による入学検定料増及び経費削減などによるものである。

現在一般入試志願者が11年連続10万人を超える等、受験生からの人気もあり、また2017年度学費改定及び2018年度より収容定員増加の認可を得たことで学納金収入については方向性が見えてきている。今後とも安定して入学定員を充足できるよう、教学・法人一体となって努力を継続することが重要である。

学納金収入を補完する寄付金は本学では全収入の1%(5億円)である。寄付金は欧米では主要な収入源となっているが本学でも寄付金収入の拡大に向け、理事長・学長はじめとして前向きに取り組んでいる。

資産運用収入(運用益5億円)も重要な財源である。本学は極めて安全かつ保守的運用が規則により定められており、これまで特に運用方針の見直しは行われてこなかったが、マイナス金利政策の下、より効率的運用の導入に向けて運用管理体制も含め理事会として検討している。

一方、支出面では学長方針にあるような共創的未来に向けた教育研究実現のため、海外トップユニバーシティ留学奨励助成金制度など積極的な支出を行うことが考えられる。これらの支出を確保するためにも、これまでの固定費の割合を如何に下げていくか検討する必要がある。また本学の教育施設には老朽化したものがかなりあり、今後計画的な更新・改修支出が見込まれる。さらに新たな施設計画も考えられているがこれらを実行するにあたっては健全な財政が前提であることは言うまでもない。

「健全な大学経営は健全な財政基盤に宿る」という考えのもと財政の健全化に向け、関係者の皆さん、ご理解・ご協力よろしくお願いします。

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