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政府は、地方創生のために、東京23区の大学の定員増を認めない方針を打ち出している。しかし、この効果ははなはだ疑問であり、弊害の方が多いだろう。

東京都は、地方創生の有識者会議が指摘しているように、世界的な金融拠点や優れた世界の研究者が集まる研究拠点の形成が期待されており、世界の大都市と競争しているのである。このようなニーズに対応して、金融ビジネスへの人材輩出と世界的な研究者と連携した新学部や新学科を23区で設置するメリットはある。

また、学生にとっても、都心の環境、すなわち歴史のある古本屋街、文豪が通い詰めた喫茶店、歴史と伝統のある競技場での観戦や応援、多様な種類のアルバイトの機会などは刺激に満ちたものである。他方で、郊外での学生生活は、多様な経験をする機会が狭められる可能性がある。

地方創生は、東京23区の大学の定員増に制限をかけることで実現されるのではなく、大学間競争を通じて、地方の大学が学生に選ばれるような改革を行い、地方の自治体が卒業後の学生に雇用機会を提供できるような創意工夫を凝らした政策を行うことで実現されるのではないだろうか。