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「明治大学アカデミックフェス」を初開催

建築家・隈氏(中央)との対談が実現

本学初めての試みである「明治大学アカデミックフェス2017」が11月23日、駿河台キャンパスで開催された。明治大学の研究者たちによる、学問分野や領域を越えた共創的研究の促進と発信を目的とした今回のイベントには、学生、研究者ら1000人以上が来場し、知の最先端を体感した。
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メインステージとなったアカデミーホールでは、土屋恵一郎学長が冒頭あいさつに立ち、「大学は知恵のアッセンブリー(集合体)である。最先端の研究に触れることで、今後の人生や研究の足掛かりにしてほしい」と開会を宣言した。

午前中は建築家・隈研吾氏と土屋学長による対談、若手研究者によるシンポジウム「『知』のリブランディング」を開催。午後は、「地域社会」「生活・健康」「『知』の回廊 シノドス」をテーマにした研究者たちによる9つのイノベーションフォーラムと、先端研究の展示、海外留学体験報告のブース、企業とのマッチングコーナーが設けられた。また、グローバルフロントでは、マンガ文化の保存拠点計画、社会的価値向上に向けたイノベーションをテーマにしたシンポジウムが催されるなど、多様な領域にわたって「魅力ある社会をつくるための明治大学の次の一手」が発信された。

隈研吾氏と土屋学長が対談

各フォーラム会場は満員状態となり、熱気につつまれた

「グローバル時代における日本文化と創造」をテーマに建築家・隈研吾氏による基調講演が行われた。隈氏は、那珂川町馬頭広重美術館(栃木県)をはじめ自ら手掛けたいくつかの作品について、スライドを示しながらそのデザインやアイデアの源泉などを詳細に解説。参加した学生たちはメモを取りながら熱心に耳を傾けた。

その後、小林正美副学長(総合政策担当)の進行の下、隈氏と土屋学長による対談が行われた。「負ける建築」と呼ばれる、景観と調和し、素材の特性を生かす独自の手法や、日本における建築家の創造性の変遷などが語られ、ブラジルの「ジャパン・ハウス サンパウロ」や2020年東京五輪のメイン会場となる「新国立競技場」など隈氏が設計した最新の事例などにも話題が及んだ。隈氏は、「日本の中には建築のヒントになるものが多い。日本の伝統と現代的な要素をつなぐことができれば、世界に対して面白いものが発信できるのでは」とメッセージを送った。

「知」のリブランディング

鋭い議論が展開された「知」のリブランディング

続いて行われた若手研究者によるシンポジウム「『知』のリブランディング」では、パネリストとして飯田泰之政治経済学部准教授、鞍田崇理工学部准教授、宮下芳明総合数理学部教授の3人と、コメンテーターとして評論家の宇野常寛氏が登壇。門脇耕三理工学部専任講師がコーディネーターを務めた。

本シンポジウムは、情報技術の発展や人口減少といった社会の変化に伴い、これまで分野ごとに細分化されてきた学問(=知)の今後のあり方を問うというもの。パネリストの研究テーマや取り組みについて紹介があった後、大学の現状や課題、これからの大学の役割などについて議論が行われた。宇野氏は「大学は単に学際を求めるのではなく、『知』を生み出すハブ的役割を果たさなければならない」と総括するとともに、新しい大学における「リベラルアーツ再構築」の重要性を説いた。