ズームアップ第579回「万感の思いを込めたラストジャンプ」

競争部 廣瀬 卓



運命の3回目の試技もバーを体は超えず、廣瀬卓主将(理工4=北嵯峨)は天を仰いだ。競技生活最後の大会、日本インカレの棒高跳に出場した廣瀬。風の影響もあり自己記録には遠く及ばない4m80で19位に終わった。「力は出せず悔しかったけど、最後までやり切れた」。どこか晴れ晴れと最後の跳躍を振り返った。

例年、長距離部門の選手が就任することが多い競走部の主将を任された廣瀬が着手したのは「長距離と他の種目の溝をなくすこと」。会話が少なく、インカレの時の応援にも統一感がないなど、入学当初から各部門間での関係の薄さを実感していた廣瀬だからこそなせる改革だった。積極的にコミュニケーションを取り、廣瀬を中心にいつしかチームは一つになっていった。

廣瀬は1回ごとの跳躍の前にスタンドにいた仲間たちと談笑していた。その姿にはもう溝は全くなかった。「長距離の選手が僕のために応援してくれたのはうれしかった」。廣瀬は結果以上の価値を感じることができた。

幼少期から始めてきた陸上競技に幕を下ろした廣瀬。大学生活においても、1年生の時に16位だった関東インカレでは2、3年で入賞。自己記録も5mの大台を超え、日本インカレの舞台にも立った。棒高跳の選手が明大ただ一人でも、地道に努力した成果がこの結果に結びついたことは間違いない。「棒高跳でさまざまな仲間に出会えた。棒高跳は一見個人プレーのように見られるけど、実は仲間の支えがあってできる」。常に仲間に、競技に真摯に取り組んできた男が静かにポールを置いた。
(ひろせ・たく 理工4 北嵯峨 175cm・68kg)
文・写真/加藤 真人(文3)


この記事に関連するページ

上へ戻る

明治大学 MEIJIUNIVERSITY

© Meiji University,All rights reserved.