Go Forward

ニュース・イベント情報

公開シンポジウム「『数理科学の誘惑』~対話が誘う文理融合の世界~」を開催

2018年03月19日
明治大学 広報課

大いに盛り上がった各プログラムでの鼎談大いに盛り上がった各プログラムでの鼎談

研究者による演奏も実施研究者による演奏も実施

明治大学先端数理科学インスティテュート(以下、MIMS)は3月17日、公開シンポジウム「『数理科学の誘惑』~対話が誘う文理融合の世界~」を駿河台キャンパス・アカデミーホールで開催しました。これは、平成28年度文部科学省私立大学研究ブランディング事業に採択されている「Math Everywhere:数理科学する明治大学」の活動の一環として、研究のさらなる推進と、大学が目指すビジョンの実現に向けたブランディング活動の両方を目的とした初めての公開シンポジウムで、約330人が来場しました。

最初のプログラム「インテリジェンスの深層」では、三村昌泰学長特任補佐が「インテリジェンスは知性のはたらきなのか」と題して講演を行った後、中沢新一研究・知財戦略機構特任教授、山口智彦研究・知財戦略機構特任教授を交えて鼎談を実施。下等生物の粘菌が迷路の最短コースを選択できることを皮切りに、数理科学や民俗学などを踏まえて文理の両面から知性について語り合いました。

二つ目の「畳む世界・広げる世界」のプログラムでは、萩原一郎研究・知財戦略機構特任教授の講演「生活の3大要素『折り・畳み・広げ』の極意を折紙工学で紐解く」に続いて、国立科学博物館館長の林良博氏が「バイオミメティクス~生物模倣と鳥類学」を講演。その後、荒川薫総合数理学部教授が加わり3者が鼎談。工学と生物学・博物学という理工系の異分野交流が実現しました。

休憩をはさみ行われたプログラム「楽曲のひととき」では、小川知之総合数理学部教授(尺八・箏)、武仲能子氏(産業技術総合研究所主任研究員:フルート)、研究・知財戦略機構の三村与士文研究推進員(ピアノ)による演奏が行われ、会場は美しい旋律に包まれました。「音楽と数学には強い結びつきがあります」という小川教授のメッセージでスタートした「AIと音楽」のプログラムでは、嵯峨山茂樹総合数理学部教授による講演「AIによる自動作曲がもたらすもの」が行われました。自動作曲システムを例に挙げながら、AI技術の行きつく先や音楽を含む芸術の未来という興味深い問題を会場に提起しました。

最後の「理性を欺く錯視の世界」をテーマにしたプログラムでは、杉原厚吉研究・知財戦略機構特任教授が「本当のことを知っても直らない立体錯視の不条理」をテーマに講演。変身立体等の作品の映像を通して、当たり前のように目を使って生活している中に潜む「見る」ことの危うさや不思議さを披露しました。続く鼎談では田野倉葉子先端数理科学研究科特任准教授が司会をつとめ、飯田泰之政治経済学部准教授が、日常生活での錯視が引き起こす影響などについて経済学の視点を取り入れながら解説しました。

来場者は「文理融合がテーマだったので、理系だった自分にもとても興味深く有意義な時間だった」「高校レベルの数学しか知らなくても、とても興味をそそられる内容だった」と感想を語るなど、社会に役立つ数理科学が本学のブランドとして今後広がっていく大きな一歩となりました。