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プレスリリース

明治大学大学院 理工学研究科新領域創造専攻 5月4日に、第1回 東京ジェインズ・ウォーク「中野再発見」 Jane’s Walk in Tokyo 2014 : Re-discovering Nakano

2014年05月02日
明治大学

明治大学大学院 理工学研究科新領域創造専攻
5月4日に、第1回 東京ジェインズ・ウォーク「中野再発見」
Jane’s Walk in Tokyo 2014 : Re-discovering Nakano
明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻は、世界的に有名な「ジェインズ・ウォーク(Jane’s Walk)」を、東京で初めて開催します。「ジェインズ・ウォーク」は、毎年世界100都市以上で同時開催されていますが、日本では今年初めての開催になります。

20世紀後半の都市思想において最も影響力があった著作家・運動家のひとり、ジェイン・ジェイコブスの名を冠したこのイベントは、自分たちが暮らす都市をよく見直すため、いくつかのテーマを持って少数のグループでまちを歩き、その成果を画像等で共有するもので、歩いて暮らせるまちの魅力を再発見し、都市の活性化や環境改善のきっかけを生み出す契機となることから、彼女の誕生日である5月4日前後に、世界各地で開催されています。彼女が亡くなった翌年の2007年、彼女が晩年暮らしたカナダのトロントで始まり、2009年には彼女の名著の「アメリカ大都市の使と生」の舞台になったニューヨークやボストンなど北米24都市263地区に広がり、1万人以上が参加しました。アジアでは2009年にインドのムンバイで最初に開催されました。

東京では今年、本学外国人招聘教授として来日したダグ・スレイメイカー教授(ケンタッキー大学)が本学理工学部の管啓次郎教授と山本俊哉教授に開催を提案。両教授が所属する大学院理工学研究科新領域創造専攻が拠点を置く中野キャンパス周辺を舞台に、同専攻の大学院生たちがスタッフおよび事務局となって、同専攻主催で開催することになりました。

中野キャンパスのある中野駅周辺は昨年4月に明治大学と帝京平成大学、今年4月からは早稲田大学が校舎を構え、新たな「大学の街」としても活気を呈していますが、かつてこの地に陸軍中野学校があり、江戸の昔には「生類憐みの令」によって保護された犬たち数万頭を収容した犬屋敷があったことなどを知る人は、今では少なくなっているかもしれません。中野駅周辺は、ジェイン・ジェイコブスの提唱する都市が多様性を持ち活気づくための4つの条件、すなわち、①用途の混合、②歩き回れる小規模な街区、③古い建物の存在、④高い人口密度を有していますが、同時に問題も抱えています。

そこで、今回は、ジェインズ・ウォークをよく知る石川初氏(ランドスケープ・アーキテクト)をガイドリーダーとしてゲストに招き、米国の都市計画事務所に勤務しジェイン・ジェイコブスに詳しい鈴木俊治・明治大学客員教授のショートレクチャーを受けた上で、ダグ・スレイメイカー教授や新領域創造専攻の専任教授を加えた7人の講師がそれぞれガイドするグループごとに数名の小グループで中野駅周辺を3時間程かけて歩きまわります。終了後、明治大学にもどり、歩いて発見したことをまとめ、写真や映像を使って発表報告しあいます。

例えば、山本俊哉教授がガイドするグループは、明治末期の地図に書かれている古道を探検して平和の森公園(旧豊多摩監獄)から妙正川の谷地を経て哲学堂まで至り、人工系が支える現代の中野のまちが自然系の上に形成されていたことを体感しつつ、中野のまちの新旧・疎密・高低の多様性と複雑性を発見します。他方、ランドスケープ・アーキテクトの石川初氏がガイドするグループは、形図や植生図を参照しながら、中野の駅前などに見られる起伏と街の関係、鉄道の土手の植生、街路樹やその足元の小さな自然など、街の中に観察します。山本俊哉教授や石川初氏のグループは、GPSラガーを持って、歩いた足跡をコンピューター上の地図に再現するのに対し、インタラクティブ・メディアを専門にする福地健太郎准教授は、全方位ミラーを使った全周映像による記録装置を使います。鈴木俊治・客員教授は、ジェイコブスにならい、全感性を使って捉え、自分の手で記録します。

中野区の地元住民等の一般参加者を交えた約50人が歩いて発見・記録した写真やスケッチなどを通し、中野のまちが持つ多様性を再発見し、活性化や改善に向けた新たなまちづくりのステップになるものと期待されます。

◇           ◇
場所 JR中野駅周辺
日時 2014年5月4日(日) 10:00〜16:00

・10:00~11:00 レクチャー
Jane Jacobsの精神「都市を活性化させるための4原則について」:鈴木俊治・明治大学客員教授
ウォーキング7コースの紹介:各講師
中野のまちの概略説明:ゲスト講師 石川初(ランドスケープ・アーキテクト)

・11:00~14:00 ウォーキング
7人の講師がそれぞれガイドする小グループごとに中野駅周辺をウォーキング

・14:00~16:00 ワークショップと報告会
ウォーキング終了後、歩いて発見したことをまとめた上で、写真や映像を使って発表報告会
講師 石川初(ランドスケープ・アーキテクト)、ダグ・スレイメイカー(比較文学、ケンタッキー大学/明治大学外国人招聘教授)、倉石信乃(写真批評、明治大学専任教授)、管啓次郎(批評理論、明治大学専任教授)、鈴木俊治(都市計画、明治大学客員教授)、福地健太郎(インタラクティブ・メディア、明治大学専任准教授)、山本俊哉(都市計画、明治大学専任教授)


(参考)
ウォーキングのテーマ(例)
テーマ(ガイド) 内容 コース
中野の都市自然を観察する
(石川初/ランドスケープ・アーキテクト)
地形図や植生図を参照しながら、中野の駅前などに見られる起伏と街の関係、鉄道の土手の植生、街路樹やその足元の小さな自然など、街の中に観察できる、都市の背後にある「自然」の片鱗を観察しながら歩いてみようと思います。 中野キャンパス、中野駅周辺
中野のまちの新旧・疎密・高低の多様性を探検・体感・発見
(山本俊哉/都市計画、明治大学教授)
ジェイコブスは、都市を生命体のように「秩序をもった複雑なもの」としてとらえ、その多様性を生む条件として用途混合・小街区・古い建物・密集を挙げて、その生成プロセスや歩道の使い道を重視しました。そこで、我々は、GPSラガーを持って明治末期の地図に書かれている古道を探検し、人工系が支える現代の中野のまちが自然系の上に形成されていたことを体感、中野のまちの新旧・疎密・高低の多様性と複雑性を発見します。 囲町(陸軍電信隊営跡地)→平和の森公園(旧豊多摩監獄)→妙正川谷→井上哲学堂→梅照院(新井薬師)→囲町
中野のまちを五感で感じ素描する
(鈴木俊治/都市計画、明治大学客員教授
ジェイコブスはニューヨーク・マンハッタンの街を連日自宅の窓下に眺めては、街のにぎわいの本質とは何か考えたといいます。この場合眺めるとは、単に目で見るだけではなく、音を聴き、においを嗅ぎ、風や陽射しを感じてのこと。自分の感覚、感性を大事にして本質を見極め、それを著作で訴えたジェイコブスにならい、我々も中野周辺の街の個性を、全感性を使って捉え、自分の手で記録します。そのことは単に記録のみならず、参加者の記憶にもしっかりと刻まれることでしょう。 明治大学→中野駅北口アーケード商店街→中野駅南口→住宅地→高円寺駅南口→高円寺駅北口→明治大学
中野の街を記録する・伝える
(福地健太郎/インターラクティブ・メディア、明治大学准教授)
街の魅力はいたるところに、あるいは明示的に表れ、あるいはひっそりと隠れています。このグループではそんな街の魅力を、地元の子供達が描いた地図から学びとり、尋ね歩きます。そしてそれを映像に捉え、人に再び伝えることを試みます。 座・高円寺→高円寺駅周辺→氷川神社→桃園川緑道→中野駅周辺
お問い合わせ先

明治大学経営企画部広報課
電話:03-3296-4330