入口ケース
ごあいさつ
日本のマンガのバラエティ豊かな創作の源として、また多数の参加者を集めるイベントとしても話題になる同人誌即売会「コミックマーケット」。大きく、長い歴史を持つこのイベントはどうやって今に繋がってきたのでしょうか。開催を支える資料から、その様子が見えてきます。
本展示は、当館の開館10 周年を記念しての開催となります。コミックマーケット創設者のひとりであり、2代目代表を長く務めた米沢嘉博氏所蔵の資料のほか、貴重な資料が集まりました。物言わぬ紙資料が伝える過去から現在までをご覧ください。
明治大学 米沢嘉博記念図書館
コミックマーケットは同人誌を中心とした表現の場です。
コミックマーケットに「お客さまはいない」と言われ続けています。同人誌を作る“サークル参加者”、会場を作り保つ“スタッフ”、そして“一般参加者”と呼ばれる参加者たちがコミックマーケットを作っています。同人誌の作り手ではなく、スタッフでもない人を一般参加者と呼ぶことはコミックマーケットの特徴で、「みんなが参加者」という理念を象徴していると言えるでしょう。
1975年12月に第1回コミックマーケットが開催され、以来44年間、コミケが開催されなかった年はありません。
第96回コミックマーケットは2019年8月9日~12日の4日間、73万人を集めて開催されました。
ノートについて ※上記会場風景写真手前の銀色のケース内に展示されたノートを指します
このノートは当館の開館に向け、米沢嘉博氏の蔵書整理を行っていた際に発見されました。第1回コミックマーケットの開催に向けて、コミックマーケット準備会の母体となった批評集団「迷宮」のメンバーたちが作成した草案と思われます。
第一回コミックマーケット開催のお知らせ
現在、日本全国にはマンガサークルが何百何千とあると云われています。それぞれのグループがそれなりの活動をし本を出していますが、残念なことにそれは共通のメディアを持たない為に極端にせばめられており、同人誌を作っても多くの人の目に触れさせる事がなかなかできないと云う悩みをどこのグループも持っているでしょう。そこでそう云う各種グループ間の情報交換や同人誌販売の場を持とうと云う試みは、発想としてはどのグループにもあったでしょうが、現在それは各種大会に求める以外に無いのが現状です。そう云う場を定期的に開く事により、より一層の場の拡大を計ろうと云う意図の下にこの企みはなされました。初めてと云う事で色々不備な点はありましょうが、場の提供という意味では決して無為な試みではないはずです。以後二回、三回と続くこのコミックマーケットが各グループ向上への起爆剤となることを望んで第一回を開くことをここにお知らせします。(1975年)
中央ケース ※ケースの内容は前期のものです
展示品(写真左から):
ブロックノート
(C31/1986年~C58/2000年)
ブロックノート使い方マンガ
有馬啓太郎
(C54/1998年)
原画
ブロックノート使い方マンガ
森永みるく
(C49/1995年)
原画
ブロックノート
(C29/1985年)
追悼 吾妻ひでお先生
展示品:
ポスター
吾妻ひでお
(C19/1981年)
うちわ
吾妻ひでお
(C24/1983年、C26/1984年)
かねてよりご療養中だった吾妻ひでお先生が、2019年10月13日にご逝去されました。米沢嘉博氏とも縁深く、当館の企画展示としても2011年に「吾妻ひでお美少女実験室/吾妻ひでおマニアックス」を開催させていただきました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
ポスター展示は前期のみの予定を変更し、グッズとともに展示いたします。
来場者の感想
カタログに掲載される「マンガレポート」(ケースNo.6参照)を模した感想カードを会場に設置しました。展示レポート、略して「てんレポ」として、さまざまな形でコミケに参加している人、参加したことがある人、またコミケに行ったことのない人からも感想が寄せられました。