別マまんがスケール

71年に鈴木光明が「別マまんがスクール」の選者になってからの一番目立つ変化は、全体が、よりまんが家目線に変わる点である。それを一番象徴しているのが、投稿者プレゼントだ。
展示の「別マまんがスケール」は、展示されている1975年7月号掲載の記事にあるように、原稿返却時に送付(プレゼント)するために製作された。白い紙をまんがの原稿用紙として使用する「あたり」をつけるため、紙の上において使用する。便利なこの道具は、のど(綴じ)の開きを意識し、右ページと左ページで裏返して使え、また「吹き出しの中のネームの大きさと行間」を示す図など、投稿者が創作に集中できるような心づかいに満ちている。とくに「まんが家十訓」には、若いまんが家たちに期待する、当時の鈴木と別マ編集部の強い意気込みが感じられる。
この他、72年から始まった、プロのまんが家の精密な複製原画のプレゼントや、76年から始まった「別マ特製の枠入りまんが原稿用紙(プロも使用中)」なども、そうしたアイディアあふれるプレゼントの例である。複製原画には、どこに注目すべきかの注意書きが入っているし(R014の魔夜峰央、R018山田ミネコケース参照)、まんが原稿用紙は、現在画材屋などで販売されている、まんが原稿用紙と同様のものである。

1970年初頭の「別マまんがスクール」の批評

笹尾なおこ(投稿時・菜穂子/現PN笹生那実)作品を例に展示ケースの中には、①第60回(1973年6月号)銀賞受賞作「弘美の聞いたもの」と、②第65回(1973年11月号)金賞作品の扉絵原画、③鈴木光明のお手紙付きの出版社からの批評用紙および、④雑誌の講評を展示した。
銀賞受賞時の批評用紙(現物展示)には、短所の部分に赤字でチェックが入っていたりするが、金賞作品の批評用紙(パネル展示)にはまったくチェックが入れられていない。
また、どちらも批評用紙の裏には、鈴木光明の手書きの批評が書かれている。
別マの講評を読めば、それが鈴木の書いた批評を基にしているのがわかる。往々にして鈴木の書いた批評の方が雑誌より厳しいところなど興味深い。