3人+αの原画:今日マチ子

今日マチ子


「いちご戦争」(2012年〜)

今日マチ子は、一貫して、少女文化における甘い幻想と、それゆえの壊れやすさを、描いてきた。それは、近年作者が精力的に取り組んでいる「戦争」をテーマにした作品においても変わらない。沖縄戦における少女たちの過酷な運命を描いた「cocoon」では、幻想としての少女性を、悲惨な日常から少女たちを守るcocoon=繭に象徴させた。本作は、設定をよりファンタジックにしつつも、兵士としての少女たちを描くことで、幻想としての生/現実としての死の落差を強く感じさせる。

「cocoon」(2009〜2010年/2012年)
「cocoon」についてはR024のケースを参照のこと。


壁面全体

「いちご戦争」原画





「coccon」複製

「coccon」原画



















誰かの人生の一部に戦争が関わってしまうと、その人の人生は戦争という一要素だけで語られてしまったり、かわいそうな人に見られがちですが、それは彼らにとって失礼だと思うんです。
——「失礼」というのは?
そもそもなぜ自分が戦争から目を逸らしていたのかについて考えると、怖いという思いが強かっただけでなく、描かれている人物にあまり共感できなかった、というのもあったと思います。日本では戦争に対して不思議な郷愁を感じやすいというか、憧れることはないにしても、描かれている悲しみや叙情性に惹かれやすい気がしていて。それもあって、主人公も一方的な被害者として描かれるのかもしれませんが、そこが不満だったのかもしれません。

今日マチ子

戦争を知らない世代が戦争マンガを描く理由
漫画家・今日マチ子と考える戦後70年より

ウェブサイト「wotopi」 (2015年8月9日)


テーブルケース
おざわゆき「あとかたの街」原画