「コミック電撃大王」とグッズ類

R001からR008には「GUNSLINGER GIRL」が表紙の「コミック電撃大王」とグッズ類を展示した。「コミック電撃大王」は、1992年に創刊したパソコン雑誌「電撃王」の付録「電撃玉」が1994年に独立したもので、1990年代後半からのメディアミックスの流れを担った雑誌である。

・『コミック電撃大王』2002年7月号
(メディアワークス)
・『電撃王』1993年2月号(創刊号)
(メディアワークス,1993年)
・『電撃玉』
(電撃王1993年2月号付録,メディアワークス)
・「GUNSLINGER GIRL」1巻
(メディアワークス,電撃コミックス,2002年)

「コミック電撃大王」とグッズ類

・「コミック電撃大王」(2003年8月号)
・フィギュア「ヘンリエッタ ジェラート」
(アミエ・グラン,2005年)
・フィギュア「ヘンリエッタ アッサルト」
(アミエ・グラン,2007年)
・ソリッドワークスコレクションDX
「ヘンリエッタ」「トリエラ」(トイズワークス,2007年)

「コミック電撃大王」とグッズ類

・「コミック電撃大王」 (2003年11月号)
・「コミック電撃大王」 (2004年5月号)
・DVD「GUNSLINGER GIRL Vol.0」(コミック電撃大王2004年5月号付録)

「コミック電撃大王」とグッズ類

・「コミック電撃大王」 (2004年12月号)
・「コミック電撃大王」 (2006年9月号)
・Pキャラ「 ヘンリエッタ」Ver.
(GSIクレオス、コミック電撃大王2004年12月号ほか通販)
・「電撃4コマ」(「コミック電撃大王」2008年8月号付録)

「コミック電撃大王」とグッズ類

・「コミック電撃大王」 (2008年4月号)
・「コミック電撃大王」 (2008年2月号)
・ 1/8スケールフィギュア 「ヘンリエッタ」
(マックスファクトリー,2006年/再販2011年)
・1/8スケールフィギュア 「トリエラ」
(マックスファクトリー,2011年)
・「イル・テアトリーノ リブレット」
(コミック電撃大王2008年4月号付録)

「コミック電撃大王」とグッズ類

・「コミック電撃大王」(2009年9月号)
・「電撃ヒロインズギャラリー」(コミック電撃大王2009年6月号付録)
・iPad映像「電撃ヒロインズギャラリー」(okama、高河ゆん、三輪士郎)
・オルゴール「たった1つの想い」
(コミック電撃大王2008年4月号通販)

「コミック電撃大王」とグッズ類

・「コミック電撃大王」(2011年6月号)
・「コミック電撃大王」(2012年7月号)
・グラフィグ ジョゼ/ヘンリエッタ/トリエラ/ヒルシャー
(コミック電撃大王2012年7月号誌上通販)

「コミック電撃大王」とグッズ類

・「コミック電撃大王」(2012年11月号)
・figma「ヘンリエッタ」限定版
(グッドスマイルカンパニー,2013年)
・にいてんご でらっくす
ヘンリエッタ(キャラアニ,電撃大王2012年7月号付録)
リコ/トリエラ(コミック電撃大王2012年7月号誌上通販)
ヘンリエッタ(キャラアニ,「電撃ヒロインズ フィギュアコレクション 20体セット」)
・にいてんごむっ!
ヘンリエッタ/リコ/トリエラ/クラエス/アンジェリカ/ペトルーシュカ (キャラアニ,2013年)
・iPad映像「相田裕ツイッターイラスト」

ラシェルによるトリエラの"再生"

R010からR016とそこから続く壁面には、「GUNSLINGER GIRL」本編から、各「フラテッロ(義体と担当官のコンビを表す通称。イタリア語で「兄弟」の意)の"改造"と"再生"を見いだせるページを展示した。
このケースには、医師ラシェル・ベローが、後に「義体」と呼ばれる改造兵士となる少女トリエラを救う場面を入れた。このエピソードは「世の中捨てたもんじゃないわ」の台詞と共に最終回まで繰り返し描かれ、本作における"再生"を象徴するシーンである。物語中盤では、検事ロベルタも同じ言葉を発して、このテーマを引き継いでいる。

◇相田裕コメント
この作品では過酷な状況に置かれた様々な人間の姿を描きましたが、ラシェルからロベルタへと続く"善意"の流れは物語の柱のひとつになりました。ラシェルは普通の一般人ですが、彼女の英雄的な行いがヒルシャーやロベルタを動かしていきます。

トリエラの"改造"とヒルシャー 1

R010とR011には、改造兵士のトリエラと、暗殺者として育てられた少年ピノッキオの、2度の対決に関わるページを入れた。
義体たちは洗脳によって自分の"改造"自体を悩まない。だが、少年への敗北によって、戦う使命を達成できないことには苦悩する。

トリエラの"改造"とヒルシャー 2

再戦して勝利した姿はそれまでの改造ヒーローと同様、傷つき悲哀を感じさせるが、義体にはその悲哀を自覚することはできない。それを受け止めるのは担当官のヒルシャーである。
これは"改造"の不安や罪悪を担当官である大人に、戦う使命感を義体である少女に振り分けた、本作ならではの描写といえるだろう。

トリエラの"改造"とヒルシャー 3

ヒルシャーが、トリエラを救った時のことを語る場面。それはロベルタ検事からの「一人正義感を通してどうなるものだろうと、いつも迷っているんです」という問いに答える形で述べられる。ヒルシャーは、自分の正義感に基づいてトリエラを救い、彼女を義体に"改造"したことに責任を感じている。そして担当官として、トリエラを見守る役目を自分に課している。左下のコマは大人の女性に変装したトリエラ。

ヘンリエッタの"改造"とジョゼ 1

R013とR014には義体ヘンリエッタと担当官ジョゼの関係を示すページを入れた。
R013は、ヘンリエッタとジョゼの平穏な日常を描いたシーン。ジョゼはヘンリエッタに様々なプレゼントを贈り、色々なところに連れ出す。フラテッロの擬似兄妹的なイメージは、このペアが大きく担っている。

ヘンリエッタの"改造"とジョゼ 2

このシーンには義体の苦悩が端的に表わされている。ここでのヘンリエッタは、一見自分が"改造"され普通でなくなったことを悩んでいるかのように見えるが、実際は、担当官が自分に普通を求めること、それに完全には答えられないことに悩んでいる。"改造"そのものではなく担当官への思慕が、つまり担当官の役に立てるかが、彼女の悩みの軸になっている。それが「条件付け」という洗脳(R023参照)によるものなのか、ヘンリエッタの自然な感情なのかは作中では明確にはわからない。

ヘンリエッタの"改造"とジョゼ 3

担当官のジョゼが、兄のジャンや義体たちと共に休暇に行った時のシーン。ジョゼとジャンが、テロで失った家族について話す。ジョゼにとって、亡くした妹の喪失感と彼女への愛情が、担当する義体ヘンリエッタへの優しさにつながっていることがわかる。ヘンリエッタと共に過ごすことが、ジョゼ自身を救っていることが示唆されるシーンである。
場所は地中海シチリア島のタルミオーナ。古代劇場での会話が、独特のカメラワークで情感豊かに描かれている。

アンジェリカとマルコーの"再生"

最初期の義体であるアンジェリカは、担当官マルコーを守って重傷を負う。義体のボディは修復可能だが、積み重なった"改造"と洗脳の副作用は被験者の脳に負担をかける。アンジェリカは記憶の混乱の中、大人たちが彼女のために作った「パスタの国の王子様」のおとぎ話を思い出す。そして、マルコーが誰かも分からなくなった状態で語り始めた。アンジェリカは、義体たちが「死ぬキャラクター」であるという事実をはっきり示す存在となった。一方で、大人たちのできるだけの愛情が彼女に届いていたことを感じさせ、義体になる前の、より悲惨な環境からは精神的に救われていたことがわかる。そのことによって、マルコーをはじめとする大人たちも、救われることになる。

改造の系譜

「GUNSLINGER GIRL」の成し得たことを示す前に、それ以前の"改造"を描いた作品を振り返りたい。1950年代以降のロボットマンガ・ヒーローマンガの系譜にある「8マン」(1963)を経て、「サイボーグ009」(1964)、「仮面ライダー」(1971)が登場し、改造された身体をもつヒーロー像が確立された。これらのヒーローたちは、"改造"の孤独に悩みながら戦うヒーローたちであった。また、機械の体と生身の体とのあいだで揺れ動く主人公・鉄郎を描く「銀河鉄道999」(1977)にも見られるように、当時の"改造"は手放しで肯定されるものではない。そこには、急速に発達していった科学文明に対する警鐘というメッセージが含まれていたといえる。

改造の系譜

1980年代後半からは、"改造"が当時ムーブメントとなっていた「サイバーパンク」と結びついていく。「攻殻機動隊」(1989)や「銃夢」(1990)などの作品が登場し、もはや不可欠となった技術が個人を呑み込むような描写で、メカニックな身体が強調され、機械との結合が前提となった精神のあり方が描かれた。
一方、「万能文化猫娘」(1990)のように美少女の姿そのままの"改造"もコメディとして登場している。

改造の系譜

90年代後半から2000年代に入ると、"改造"され次第に人ではなくなってゆく少女との恋愛を描いた「最終兵器彼女」(2000)、親を取り戻すために身体を失った「鋼の錬金術師」(2001)など、やむを得ない喪失の象徴としての"改造"と、その改造を背負ったうえで生きていく姿が描かれる。これは、日本経済の「失われた10年」の不況の中で生きてゆく現実の若者の姿を一部投影している。「GUNSLINGER GIRL」以降では、人間から魔女に"改造"される過程としての魔法少女を描いた「魔法少女まどか☆マギカ」(2011)があるが、"改造"の苦悩は人知を超えたSF的手法で解決されている。

「GUNSLINGER GIRL」の登場

「GUNSLINGER GIRL」の原型となる作品が登場したのは1998年。大学在学中に描いた同人誌での発表だった。
最初の掲載は2話までで、最終的に全5話、外伝1話の連作となった。初めに登場するのはリコとアンジェリカ。 "改造"され銃で戦う点や担当官とのパートナー制、「パスタの国の王子様」などのエピソードについても商業誌版とほぼ共通している。逆に「条件付け」や「フラテッロ」の設定は商業誌版の際に加えられた設定だ。
ケースには同人誌時代の「GUNSLINGER GIRL」全6冊(1998-2000、総集編2002)を展示した。

デビュー作からの一貫したテーマ

相田裕の商業マンガ誌デビュー作「FLOWERS」は、FOX出版(「とらのあな」子会社)の「コミックメガフリーク」Vol.3(2000年12月)に巻頭カラー4ページで掲載された。 古城に暮らす人造人間たちを描いている。少女たちは視覚や声など、それぞれ欠けた部分があり寿命も短い。同人版「GUNSLINGER GIRL」につづき、困難な状況を生きつつも、その中で幸福を見出してゆくというテーマが、より鮮明に語られている。ここでは当時のネームノートを展示した。

◇相田裕コメント
短いページ数で話の雰囲気を出すことに苦慮しました。作画の他に、特にネーム(台詞)を練り上げていくのに時間がかかったのを覚えています。
"短命な少女の生きる今"は、当時関心のあったモチーフで、そのまま商業版「GUNSLINGER GIRL」に繋がっています。

少女の姿のままの"改造"

「GUNSLINGER GIRL」は、"改造"されても、機械化された身体を象徴するようなメカニカルなアイコンをもたず、普通の少女と変わらない外見で描かれていたことが特徴的である。
それに加えて、彼女たちのファッションや小物、お茶会などといった普通の少女としての生活が丹念に描かれていることも重要だ。少女らしい日常を送る一方で、身にそぐわない大きな銃を扱えるその身体は「義体」と呼ばれ、"改造"された身体を否応無く思い出させる 。

◇相田裕コメント
「GUNSLINGER GIRL」では、SF的、機械的なサイボーグの姿より、少女らしい身体性を採用しました。これは影響を受けてきた"戦闘美少女"の文脈と、少女をモチーフにした自分の作風とが合体した結果であり、結果として独特の作品世界を構築できたと思っています。

「条件付け」の洗脳と感情の在り処

"改造"された少女たちには「条件付け」と呼ばれる洗脳が施される。少女たちは、この条件付けによって暗殺任務をこなし、担当官たちに従う。担当官への思いは愛情に似ているが、それが洗脳の結果よるものか、彼女たち自身の心から来るものなのかは明らかではない。彼女たちは自分が洗脳されていることを知っており、義体たちの決断は、「条件付け」と担当官への思いの狭間で下されるものとして描写される。そのせめぎ合いに読者は引き込まれるのである。

◇相田裕コメント
洗脳=悪という単純な構図にしない描写は、既存の作品にも見られていました。商業連載をはじめる時に、戦闘力をもった義体をどう制御するか?という設定をつける必要があり、"洗脳に自覚的である状態"にしたほうがより深いテーマを描けると考え、このような設定にしました。

「GUNSLINGER GIRL」の革新性

これまでに数ある"改造"作品の中、「GUNSLINGER GIRL」が行ったひとつの革新は、"改造"された少女を大人とともに歩ませたことである。自分の身体の"改造"という出来事は、本来少女が抱え切れないほど重い。ひとりの少女に必ずひとりの担当官をパートナーとして寄り添わせることで、少女と"改造"というモチーフを深く掘り下げることができている。
さらに、担当官たちの過去を丁寧に描き、それを背負いつつ少女たちと共に生き抜かせることで、彼ら自身の人生を問い、彼らの"再生"をも描いた。その深いドラマ性が、美少女ものやガンアクションといったジャンルのファンだけでなく、本作が幅広い人気を得た理由ではないか。

相田裕を育てたもの

このケースには、相田が子供の頃から親しんだ作品たちを展示する。

◇相田裕コメント
私の子供時代はコンピューターゲームの発達期で、空想の楽しさをゲームからもらった気がします。プロになっての仕事ではほとんど無縁ですが、その頃はファンタジーのイラストばかり描いていました。日本ファルコムのゲームが大好きで、イラストの模写をたくさんしましたね。
テーブルトークRPGから入ってファンタジー小説(ライトノベル)を読むようになり、世界が広がったような気がします。中高生の頃は漫画より小説に夢中だったかもしれません。 野尻抱介さんの小説にはかなり影響を受けました。ストーリーテリングの素晴らしさ、抑制の効いた語り口、キャラクターの魅力などは今でもお手本となっています。

相田裕とTRPG

テーブルトークRPG(TRPG)は、複数のプレイヤーが集まって、キャラクターを演じ、共同で物語をつくりあげていくタイプのゲーム。相田は中学時代にTRPGを始め、現在でも専門誌「Role&Roll」(新紀元社)の企画にプレイヤーとして参加するなど、その愛好者としても知られる。

◇相田裕コメント
テーブルトークRPGは漫画や小説が描けなくても物語を生み出す体験ができる、素晴らしい遊びです。「ソードワールドRPG」は文庫のルールブックが安価で携帯しやすく、夢中になって遊びました。実は現在でも昔の仲間と遊んでいます。

大学時代と初期の仕事

大学時代と初期の仕事に関連する資料を展示する。相田は明治大学漫画研究会に所属していた。新入生で作る会誌「MAGI」では表紙と40ページの作品を描いている。カードは「KANON T.C.G.」(ティーアイ東京、2001)で、「CGネットワーカーズ自選作品集 9」(1998)とともに相田の初期の仕事である。「雫・痕 設定原画集」(1996、コンパス)は美少女ゲームのエポック的作品の原画集で、当時相田が影響を受けた作品のひとつ。

◇相田裕コメント
大学に入って、創作の仲間を得ることが出来たのはとても幸せなことでした。そこで自分の知らない作品と出会い、同人誌即売会に参加しました。漫研での経験がなかったら私は間違いなくプロになることはなかったでしょう。

BITTERSWEET FOOLS

相田が原画を務めた「BITTERSWEET FOOLS」(2001)は、PCゲームブランド「minori」の第1作のノベルゲーム。シナリオは同人活動をきっかけに知り合った古我望。ここに展示したのは初回版、リニューアル版と家庭用ゲームへの移植版の各パッケージと、このゲーム関連の資料である。手前はソングアルバム「Dolce」(2003)。同人誌「felice.」(2002)には相田の手による短編マンガが掲載されている。「BugBug増刊 攻略電脳アイドル vol.16
(マガジン・マガジン、2001)は、この作品が特集された雑誌。

◇相田裕コメント
このゲームは友人と共同制作したものですが、イタリアが舞台の群像劇ということで、商業版の「GUNSLINGER GIRL」へと繋がる仕事でした。舞台は候補の中からフィレンツェが選ばれ、ガイドブックの写真を見て一目ぼれしてしまいました。この街は「GUNSLINGER GIRL」でも登場することになります。

アニメ「GUNSLINGER GIRL」

「GUNSLINGER GIRL」は2003年と2008年の2回TVアニメ化されている。第一期のアニメはゲームと同梱したパッケージで発売され、全3巻で10万本のヒットとなった。第二期「IL TEATRINO」はピノッキオとの戦いを軸に描かれ、相田も脚本などで参加している。放送直後に未放送の2話がOVA(オリジナルビデオアニメ)で発売されている。
この他展示したのは、資料も収録されたデスクトップアクセサリー(2003)、「Sound Horizon」制作のイメージアルバム(2005)。ドラマCD(2007)は日常シーンだけで構成されているのが特徴で、クラエスのエピソード「壁の向こう」は書き下ろし。

◇相田裕コメント
アニメをきっかけにして漫画を読む人が増えてくれて、とても嬉しかったです。第一期の際は、まだ原作がそれほど進んでいない中で、制作スタッフの方には作品のイメージを汲み取る難しい作業をしていただき感謝しています。

相田裕の同人誌 1

R030からR032には相田の個人サークル「JEWELBOX」発行の同人誌を展示した。このケースは「GUNSLINGER GIRL」関連のもの。
「たたかうものたち」(1998-2005)は「GUNSLINGER GIRL」を中心としたラフイラスト同人誌。銃の解説や、ネームなども掲載されている。「ITALIA 2005-2006」(2007)はイタリアへの取材旅行をまとめたフルカラーの同人誌で、イタリアの風景をバックにした「GUNSLINGER GIRL」のキャラクターたちが描かれている。

◇相田裕コメント
「ITALIA 2005-2006」はモノクロの連載では伝えられないイタリアの美しい風景を紹介できて、とてもよかったと思っています。連載の仕事の中で、もっとカラーイラストを描いてその色彩を伝えられたらよかったのですが。

相田裕の同人誌 2

相田裕は他の作家との合同誌も出している。「marionette」(2000)は相田が企画編集に携わった「人形」をテーマとしたイラスト集。「VIEW POINT」(2001)は親交の深かった古我望と作ったフルカラー本。「美しい椅子」(2004)はアシスタントの遠藤崇弘との合同誌。
ほか「Coup de Coeur」(2003)はラフイラスト集、「モンマルトルの天使」(2004)は短編マンガ。相田は、商業連載をしながら同人誌を継続して発行しており、自分の出身である同人誌というフィールドを大切にしていることが分かる。

◇相田裕コメント
同人という気楽に描ける媒体で何かを描いて実験する、純粋に楽しむといったことは、自分の創作活動の原点です。これからも何か新しいことに挑戦するときには同人即売会を利用していくことでしょう。
連載と平行しての同人活動はなかなか余裕がなかったのですが、継続して続けた結果が現在「バーサス・アンダースロー」まで繋がって、有意義なものとなっています。

相田裕の同人誌 3

「バーサス・アンダースロー」は2009年に開始され、現在も続く同人誌オリジナル作品。高校の生徒会を舞台として、スポーツなども交えながら、生徒会メンバーの日常がいきいきと描かれる。2010年に第14回メディア芸術祭マンガ部門審査員推薦作品に入選した。このケースにはシリーズ作品を入れた。このほかに総集編がある。

◇相田裕コメント
これを描いた当時は「GUNSLINGER GIRL」の物語をまとめに入った時期で、プレッシャーは厳しく、執筆している内容はハードなものでした。そんな中、気分転換に描いてみようと思ったのが「バーサス・アンダースロー」です。思いつきでアイディアをまとめて連載と連載の合間の数日間で描き上げました。
これまで描いたことのない題材・タッチに挑戦した結果、予想以上にファンの方に楽しんでもらえることが出来ました。これは大きな自信となっています。