南山大学人類学博物館との交流事業

第一期 展覧会の開催

2011年度 合同特別展「人類史への挑戦-考古・民族コレクションの系譜-」







(1)実施形態
主 催 明治大学博物館・南山大学人類学博物館
会 期 2012年1月20日(金)~3月10日(日) 55日間
会 場 明治大学博物館特別展示室 入場料 無料  入場者数 4,214名 
企画・構成 黒沢浩(南山大学人類学博物館)・島田和高・忽那敬三・外山徹

(2)趣旨
 明治大学博物館と南山大学人類学博物館は2010年度より博物館同士の交流事業を開始した。本特別展は、その事業の一環として行われるもので,明治大学を会場として南山大学が所蔵する貴重な考古・民族誌コレクションを一堂に展示し、南山大学人類学博物館の魅力を紹介する。南山大学には,第二次世界大戦後の日本考古学の発展に貢献したジェラード・グロートやヨハネス・マリンガーにより残された考古コレクションをはじめ、上智大学によって収集されたタイ北部山地の民族誌資料やパプアニューギニア民族調査により得られた資料群などが所蔵されている。明治大学による発掘とその出土品にもゆかりのある資料も展示された。なお、展示期間中には、「博物館」という近代の装置をめぐるシンポジウム「コレクションの再生—資源化される博物館資料」も開催された。

(3)展示構成
①南山大学人類学博物館
南山大学人類学博物館の沿革と、展示した各コレクション(南山大学発掘資料、日本考古学研究所資料、マリンガー資料、パプアニューギニア民族誌資料、タイ民族誌資料、オセアニア民族誌資料)の由来及び特徴について写真資料を用いて紹介した。
② G・グロート神父と日本考古学研究所
1931年に来日したグロート神父により1950年代初頭までに日本考古学研究所(千葉県市川市)に残された縄文時代を中心とする考古コレクションを展示。グロートの後を引き継いだマリンガーによって当時の南山大学に資料が移管された。学史的に著名で数多くの標式資料を含む稲荷台遺跡、花輪台遺跡、二ツ木遺跡、姥山貝塚の出土品を展示。
③マリンガー・コレクション
グロート神父の後任として日本考古学研究所の運営に当たったヨハネス・マリンガーが収集した、ヨーロッパを中心とする旧石器時代石器のコレクションを紹介した。世界各地で収集されたコレクションは、標式資料を網羅しる形で形成され、教育を主目的としたコレクションの収集方針をうかがい知ることができる。
④南山大学の考古学研究
  南山大学人類学科による発掘調査およびその研究成果を展示。南山大学の考古コレクションの中核をなす。愛知県内に所在する入海貝塚(縄文早期)、保美貝塚(縄文晩期)、高蔵遺跡(弥生前期・後期)、瑞穂遺跡(弥生後期)、南山聖堂古窯跡(古代)からなる。他に研究者・関係者により収集された大須二子山古墳(6世紀前半)資料を展示した。
⑤上智大学北西タイ歴史・文化調査団
  1967年から74年にかけて上智大学がタイ北部山地民のユーミエン族とモン族を中心に収集を行った2000点を超す民族調査資料を展示した。資料は上智大学から南山大学に一括移管されたものである。展示品は、衣装、装身具、儀礼用具の他に,「十八神像」,「評皇券牒」が展示された。
⑥今泉コレクション
  故今泉隆平氏によるオセアニア美術コレクションの展示である。氏のコレクションは、南山大学、天理大学、早稲田大学に分割して移管され、南山大学は東ビスマルク諸島、ソロモン諸島以東の太平洋島嶼部の資料を受け入れている。
 ⑦パプアニューギニア民族誌資料
  1964年に行われた南山大学による東ニューギニア(現パプアニューギニア独立国)高山地帯での民族調査によって得られたコレクションを展示した。精霊像、仮面、生活用具などが展示された

(4)展示資料数 
借用機関・個人;1個所(南山大学人類学博物館)  出展資料;163件

(5)特別展e-ラーニングコンテンツの作成
 南山大学人文学部黒沢浩准教授による展示解説映像  





2012年度 合同特別展「驚きの博物館コレクション展! 時を超え、世界を駆ける好奇心」 







(1)実施形態
主  催 明治大学博物館・南山大学人類学博物館・名古屋市博物館
会  期 2013年2月2日(土)~3月17日(日) 37日間(月曜・2/26休館)
会  場 名古屋市博物館特別展示室  
入 場 料 一般¥600 高大生¥400 中学生以下無料  入場者数 13,570名 

(2)趣旨
 2010年から始まった愛知県名古屋市の南山大学人類学博物館との交流事業の一環として、明治大学の誇る数々の博物館収蔵資料を名古屋で展示公開することになった。名古屋市博物館を会場に、3館のジョイントで博物館コレクションの形成をテーマとする展覧会を開催した。展覧会の全体趣旨は博物館コレクションの形成ということで、考古学、歴史学、民族学等の学術分野、大学だけではなく受贈した個人や企業コレクションなど来歴としても多様なケースを紹介することができた。明治大学からは、アカデミーコモンB2F常設展示の主役級に加え、館蔵品の中から西志賀貝塚出土遺物や陶器の試作品、長良川の治水関係古文書など名古屋市や東海地方ゆかりの資料が出展した。このほか、ヨーロッパで出土した石器類、大名家文書、江戸期の服飾、絵画資料、昭和の商品、オセアニアやニューギニアの民族資料、いろはカルタなど、3館の収蔵品によって過去から現在に至るまで、また、ワールドワイドな展開を見せる多彩なコレクションの数々が出展されている。

(3)展示構成
〇導入;名古屋市西志賀遺跡[明][南][名]
①他者を知る/自己を知る—1960年代の日本/異なる文化・異なる人類
日本人の生活スタイルが劇的に転換した1960年代前後の資料(昭和の家電製品[南]、伝統的工芸品と化学工業製品[明])を展示。また、タイ北部山地民、パプアニューギニア、オセアニア関係の民族誌資料[南]。考古資料として絶滅哺乳類と人類の化石[明]、ヨハネス・マリンガー神父収集によるヨーロッパ旧石器[南]を出展。
②遙かなる過去へ—地中から掘り出された日本列島の歴史
岩宿遺跡・砂川遺跡等の旧石器[明]、夏島貝塚の縄文早期遺物[明]、東北地方・東海地方の縄文晩期遺物[明]、ジェラール・グロート神父の縄文時代遺物コレクション[南]、遠賀川式土器(弥生)[明]、弥生時代の墓制[明]、銅鐸と武器形青銅器[明]、高蔵遺跡・瑞穂遺跡[南]、舟塚古墳出土埴輪他東日本の古墳時代[明]、鏡・石製品[明]、大須二子山古墳[南]など、日本の先史時代を代表する遺物、また、東海地方の遺物を展示。
③近世の光と影—刑罰史、城下町のくらし、ことばのコレクション
旧刑事博物館の初期拷問・刑罰関係コレクション[明] 、名和弓雄他の捕者道具コレクション[明] 、近世地方文書と譜代大名内藤家文書[明] 、近世期の名古屋の習俗を描いた高力猿猴庵の著作[名] 、江戸~明治期の名古屋周辺の陶磁[名]、松坂屋百貨店による着物のコレクション時田昌瑞ことわざコレクション[明] 、など近世・近代期の多彩なコレクションを展示。

(4)展示資料数 
総出展件数 1629点
(内訳:明治大学博物館879点 南山大学人類学博物館628点 名古屋市博物館122点)

(5)関連事業
①講演会
日時 2013年2月2日(土) 14:00~ 会場 名古屋市博物館・博物館講堂
  大塚初重(明治大学名誉教授)明治大学考古学博物館のコレクション形成と西志賀貝塚の調査
日時 2013年2月17日(日) 14:00~ 会場 名古屋市博物館・博物館講堂
後藤 明(南山大学人文学部教授)オセアニアの物質文化
 ②ギャラリー・トーク
  2/9.10名古屋市博 2/16南山大 2/23.24明治大 3/2.3南山大 3/9.10名古屋市博 3/16.17明治大