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国際日本学部

クリエータービジネス論で明大生の音楽視聴に関する調査を行いました

2018年08月06日
明治大学 中野教務事務室

国際日本学専門科目の一つであるクリエータービジネス論(担当教員:原田悦志 兼任講師)では、今学期、情報の三様相(データ、インフォメーション、インテリジェンス)の解析を行い、アイデアソンを通してビジネスプランの提案作成を実施しました。音楽を題材としたこの調査は、多様な考え方や個性が、わずか60人ほどのクラスにも満ち溢れていることを知り、自分たちの中から新たなクリエータービジネスの可能性を考察するものとなりました。

調査結果は★こちら★からご覧いただけます。

なお,授業を受講した学生のコメントは以下のとおりです。

<国際日本学部一年 白須弘起>
 私がこの調査をしようと思ったきっかけは、情報と実際に起きている現象に大きな乖離が存在していると考えたからです。授業で原田先生は様々な視座を与えてくれました。例えば「アニソンが人気」と良くメディアでも言われていますが、よく考えてみるとゴールデンタイムに放送されているアニメはほとんどないため、人気かどうかはわからないと原田先生はおっしゃっていました。その人気というのは点在していて、それが集まったものがフェスやイベントといったものとして現象しているものだと気付きました。そこで私は同じ世代である大学生が実際にどのように音楽と接触し、また視聴しているのかを調べたいと思いました。
 この調査では学生に音楽の視聴形態に関する10個の質問をアンケート形式で答えてもらいました。それぞれの結果から興味深い考察ができますが、私が特に面白いと思った結果は2つあります。一つ目は[「魅力的な店舗や商品」を選ぶ基準はなんですか?]という質問に対しての回答でした。多くの回答があったのは「直感・雰囲気/偶然」「身近な人のおすすめ」といった現実の人間的な要因によるものでした。放送やガイドブックといった選択肢も用意していたのですがあまり回答が多くなかったことから、こうしたメディアを通しての宣伝行為などは実はあまり効果がないのではないかという考察ができます。もう一つ目は、一人一人それぞれの好みがあるということです。原田先生はこのことを「1人1ジャンル」や「1人1メディア」と言います。「どの音楽関連商品に興味があるか」という質問をしたのですが、回答者全員がコンサートやDVDなど、何かしらの音楽関連商品に興味があると答えました。それだけでなく、内訳を見てみると番組の公開収録やトークイベント、握手会など、回答者の興味のベクトルは一概ではありませんでした。また、「あなたが最も好きなアーティストとその理由を教えてください」という質問に対してどの回答者もそれぞれのお気に入りのアーティストの魅力について書いてくださいましたが、そのお気に入りのアーティストが被ったケースはほとんどありませんでした。
 大まかに言えば、今回の調査はクリエータービジネス論で学んだ音楽業界の構造変化やメディアの現状を音楽を通して実証した形となりました。しかし、一つ一つの結果を切り取ってみると、興味深い情報が浮かび上がってきます。例えば調査から魅力的な店舗や商品を選ぶのに放送やガイドブックといったメディアよりも、人間を介した情報の方が効果的であるという情報が得られました。そこから、例えばSNSや口コミサイトなどのアーンドメディア上や、地域レベルのコミュニティでの広報活動などをすることによって情報に人間性を付加することなどがマーケティングに効果的ではないかと考えることができます。このようにデータからより戦略的な情報(インテリジェンス)を未来進行として得ることが大事だと原田先生は授業で仰っていました。回答者の中に楽器経験者が多かったことから今回データを集めたレイヤーは大学生、それも音楽が好きなレイヤーであったことがわかりました。今後より幅広いレイヤーを対象とした調査をすることによって、今増えている音楽無関心層や外国人などにどのようにプロデュースしていくかといった新たなインテリジェンスが発見できます。こうして一つ一つ新しい視座を得ることが、クリエータービジネスの可能性を広げていくのだと思います。


<国際日本学部1年 森下涼帆>
 私が原田先生の調査に関わろうと思ったのは、大学に入ったからには、何か新しいことに挑戦しようと思った、とても単純な理由からです。
 今回の調査の私の担当箇所の中で分かったことはいくつかあります。その中で私が面白いと感じたものが二つあります。1つ目が、音楽を「聴く」場所としてカラオケを挙げる生徒が多かった点です。カラオケは歌う場所としての認識が強いですが、良く考えれば私自身も友人とカラオケに行く際に、友達の歌声を聞くことが出来ることに楽しみを見出し、友人が歌っていたことで初めて知った曲も多数あることに気づきました。音楽の情報源として友人を挙げる学生も多かったことから、「友人とカラオケ」という活動は、学生と音楽を繋ぐ重要な役割を果たしていることが今回の調査で興味深い点でした。
 2つ目は、公共交通機関で音楽を聴く人よりもライブ会場で音楽を聴く人が多かった点です。その理由を考えた時に、今回の調査では、関東出身の人が大多数を占めていました。そのためライブ会場へのアクセスがいいからである、ということも考えられます。
 しかし、それ以上に、学生は「一回性」というものに価値を見出しているのではないかと思います。先程のカラオケも、このライブも、どちらも生の歌声を聞くことが出来るものです。現在は、スマートフォンでいつでもどこでも音楽を聴くことができる時代です。しかし、実際に存在する一回きりのものに価値を見出すことも人気を集めているということが分かりました。
 今回の調査で、私は、普段何気なく触れているものでも、調査と統計を取ることで分析が可能になり、今まで見えなかった面が見えることを身をもって学ぶことが出来ました。今回の調査結果を生かし、別の科目にも応用したいと思います。

<国際日本学部3年 伏見宏司>
 大学3年生の春学期が終わろうとしています。私はこの春学期、原田悦志先生の講義「クリエータービジネス論」を履修し、この授業の課外活動「明大リサーチ2018」に参加しました。この活動は私達が実際にアンケートの質問を考えるところから、集計、分析、発表と先生の助言をいただきつつ、データの生産から消費まで、一連の流れを扱うものです。私がこの活動に参加した理由は、新しいことに挑戦したかったからです。そして私は、この活動を通してとても大きな気づきを得ることができました。1つ目は、データを集計し、そこから何かを読み取るということの面白さ、2つ目はデータ(ファクト)の重要さです。
 データを集計し、それを有益な情報に変えていくという作業は、とても興味深いものでした。なぜなら、それはバラバラなものデータを読み込み、まとめあげるという行為はあやふやなものを目に見える形に変えていく作業だからです。特に、今回私が担当した「音楽を聞いてなぜ泣くのか」という質問は、とても感情的な問題でした。感情的であるからこそ回答を分析し、そこから「共感」というキーワードを読み取ることができたことは自分にとって喜ばしいものでした。しかし、発表時に原田先生が私よりも様々な視点からデータを見て、より深い考察をしていたことには、先生のデータを読み取る能力の強さを改めて感じました。
 2つ目のデータの重要性という点は、この授業で行ったアイデアソンと大きな関連性があります。アイデアソンを通して学んだことは、ターゲティングとそこへ訴求する企画を裏付けるデータの重要性です。今回アイデアソンで私達が使用したようなデータを実際に自分たちが生産する側に立ったことで、このグラフを通じてどのようなことを伝えたいのかという視点を養うことができました。この活動によって自分はデータの見方が大きく変わったと感じます。
 このように、今回原田先生のもとでこの授業を受け、明大リサーチという課外活動を行ったことは確実に意義があり、「やってよかった」と、達成感に満ち溢れさせてくれるものだったと感じています。