書評その他
内容紹介
日本ゲームよ、逆襲せよ!
日本ゲームの本質とは何か。どんな歴史をもっているのか。どんな語られ方をしてきたのか。どんな才能が集まり、どんな作品が生み出されてきたのか。そして、どんな未来を迎えようとしているのか? インベーダーゲームのころからゲームに注目し、『ポケットの中の野生』を書いた中沢新一と、『現代ゲーム全史——文明の遊戯史観から』でいちやく脚光を浴びた気鋭の批評家中川大地が、「ゼビウス」でゲームの歴史を塗り替え、今なおゲームデザインの最前線を走り続ける遠藤雅伸を招いて、日本ゲームの可能性について語りつくす。ゲーム学に新たな視界を切り開く、危険な書の登場!
目次
まえがき 中川大地
序章
中沢新一 聞き手=編集部
ゲームのポイエーシス/ノンヒューマンとのインタラクション/
ゲームについて何を考えるのか
第1章 日本ゲームはいかに語られてきたか
中川大地 聞き手=TAITAI・斎藤大地 文・構成=伊藤誠之介
なぜゲームでは「ふつう」の批評が成立しないのか?/
ゲーム批評史〈1980年代前半〉 『ゼビウス』がゲームの批評意識を目覚めさせた/
田尻智と堀井雄二はゲームを批評する側の出身 批評が作り手への道だった時代/
ゲーム批評史〈1980年代後半~1990年代前半〉 ゲームを再生産するフィードバックのための批評/
ゲーム批評史〈1990年代後半〉 32ビット機の登場によるゲーム「作家」の発見/
ゲーム批評史〈1990年代後半 その2〉 コミュニケーションの時代を先駆けていた『ポケモン』/
ゲーム批評史〈2000年代前半〉 「ゲームの黄昏」を示した動向/
ゲーム批評史〈2000年代後半〉 コンテンツそのものの批評から、現象としてのゲーム批評に/
ゲーム批評史〈2010年代前半〉 『ポケモンGO』という虚構が、現実を塗り替える/
ゲーム批評史〈未来〉 ゲームを語ることは、社会を語ることと同義になる?
第2章 日本ゲームは何を表現してきたか
中川大地×遠藤雅伸+中沢新一 構成=藪和馬・中野慧
『ゼビウス』の革新性と歴史的影響/MMOとしての『ドラクエ』
日本と海外におけるゲーム観の相違/ナラティヴと体験の乖離/プレステが変えたゲームと街の風景/
2000年代、携帯型ゲームの独自進化/2000年代後半、ソーシャルゲームの勃興/
『パズドラ』によるスマホゲーム革命/『ポケモンGO』がもたらしたARの復権/
「プレゼンス」の観点から考えるVRの未来/おわりに
第3章 日本ゲームのオリジナリティ
遠藤雅伸×中川大地×中沢新一
大学でゲームを教えるということ/日本ゲームは海外からどう見られているか/
漢字文化とグラフィックの関係/どんな人が日本ゲームをデザインしているのか/
日本人的な成熟に向かって/クリエイターたちはどこからやってきたのか/
ナラティヴがゲームを成長させた/対戦相手は人間でなくなる/
日本のゲーム開発現場の非構築性/ゲームプレイの中の美意識/
「お布施」のメンタリティ/ゲームカルチャーとアイドルカルチャー
第4章
中沢新一×中川大地
歴史のバイロジック/戦争と遊び/「キティちゃん」の数理学/
遊びの本質とは何か/『ポケモンGO』と聖地巡礼/
『ポケモン』にあって『ポケモンGO』にない楽しさ/
コンピュータカルチャーが革命の夢を終わらせた/
ピンボールからビデオゲームへ/人工知能は死の夢を見る?/
人間とノンヒューマンの未来
索引
著者紹介
中沢新一
明治大学研究・知財戦略機構特任教授。1950年、山梨県生まれ。宗教から哲学まで、芸術から科学まであらゆる領域にしなやかな思考を展開する思想家・人類学者。著書に『チベットのモーツァルト』『野生の科学』『熊楠の星の時間』『アースダイバー 東京の聖地』(以上講談社)、『虎山に入る』『熊を夢見る』(以上KADOKAWA)他。
遠藤雅伸
1959年東京都生まれ。ゲームクリエイター、東京工芸大学芸術学部ゲーム学科教授。株式会社ゲームスタジオ創業者・相談役、日本デジタルゲーム学会副会長。千葉大学工学部画像工学科卒業。1983年に「ゼビウス」で大ブームを巻き起こし、ゲームデザインの最先端を走り続ける。著書に『遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継』(SBクリエイティブ)。
中川大地
1974年東京都生まれ。文筆家、編集者。『PLANETS』副編集長。 明治大学野生の科学研究所所員。アニメ・ゲーム関連のコンセプチュアルムックの制作を中心に、各種評論・ルポ・雑誌記事等を執筆。著書に『東京スカイツリー論』(光文社)、『現代ゲーム全史——文明の遊戯史観から』(早川書房)。