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吉田悦志『明治大学文人物語-屹立する「個」の系譜』



『明治大学文人物語-屹立する「個」の系譜』
吉田悦志著
四六判・上製・292ページ・本体3,200円+税
ISBN 978-4-906811-18-2
2016年5月刊行

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書評その他
 ・『明治大学広報』694号に書評が掲載されました。

内容紹介

創立者・教員文学者・卒業生など、明治大学ゆかりの人物たちの歩みと思想をたどり、その特徴を「日本海地域の精神文化」と喝破する好著が誕生。第1部では、岸本辰雄、宮城浩蔵、矢代操、磯部四郎、杉村虎一ら、明治大学創立者の理念と動向を、第2部では、ついに実現しなかった「明治文学会」の経緯を追って、上田敏、夏目漱石、内海月杖、登張竹風、そして笹川臨風といった文学者たちを、第3部では、卒業生の活躍として、平出修、尾佐竹猛、子母澤寛を、そして第4部では著者が直接薫陶を受けた中村光夫、平野謙といった批評家たちを論じる。
目次

序  日本海側地域の文化と明治大学
 
第1部 創立者たち
 第1章 創立者・「明法寮の五人組」
  1 フランス留学まで
   一 出身藩/二 共学社から貢進生へ/三 司法省「明法寮の五人組」
  2 フランスへ
   一 フランスへ/二 箕作麟祥・中江兆民・西園寺公望たち/三 矢代操の思想
 第2章  明治法律学校の創設
 第3章  岸本辰雄と鳥取

第2部 明治文学会と笹川臨風
 第1章  明治文学会
  1 明治文学会の発足
  2 教員文学者たちの位置
   一 漱石の位置/二 上田敏の位置/三 登張竹風の位置/四 樋口竜峡の位置
  3 明治文学会と文芸革新会

第2章 笹川臨風
  1 はじめに
  2 笹川臨風の閲歴
   一 幼少年時代/二 学生時代/三 本格的執筆時代/四 明治大学時代
  3 笹川臨風の文化的位相
   一 臨風の読書遍歴/二 臨風の文化的位相/三 臨風の人的ネットワーク 横山大観たち 田岡嶺雲たち
  4 笹川臨風と明治大学
     一 明治大学奉職前後/二 上田敏と森鷗外のこと/三 臨風と上田敏
  5 笹川臨風と明治大学校歌
       一 臨風と学生/二 笹川臨風と林田春潮/三 明治大学校歌
  
第3部 卒業生たち
  第1章 平出修
   1 平出修の大逆事件弁論まで
    一 平出修の生い立ち/二 人権派弁護士・平出修/三 歌人としての平出修/四 平出修の弁論
   2 平出修の大逆事件小説「計画」を読む
    一 小説「計画」の粗筋/二 「計画」論先行文献の紹介と整理/三 小説「計画」私論 モデル性の問題をめぐって 須賀子か秋水か なぜ秋水か
  第2章 尾佐竹猛
   1 尾佐竹猛と森鷗外
    一 「津下四郎左衛門」前後の鷗外/二 「津下四郎左衛門」をめぐる尾佐竹猛と鷗外/三 鷗外の「歴史其儘と歴史離れ」
   2 尾佐竹猛と子母澤寛
    一 子母澤寛の閲歴/二 作家・子母澤寛誕生の史話
   3 尾佐竹猛の「歴史と文学」
    一 厳格なる考証学者/二 尾佐竹と小林秀雄/三 尾佐竹の「歴史と文学」
  第3章 子母澤寛
   1 石狩国厚田村の原風景
    一 誕生の地/二 祖父・梅谷十次郎のこと/三 祖父母と実父母と異父兄弟「三岸好太郎」/四 学生から作家へ
   2 子母澤寛の文学作品
    一 「新選組」三部作/二 「駿河遊侠伝」と「座頭市物語」
 
第4部 文学者たち
  第1章 中村光夫の文芸批評—広津和郎への違和
  第2章 平野謙の文芸批評—広津和郎への信頼
   1 「破滅型」人間・平野謙
   2 アンチ「破滅型」の系譜
 
あとがき
索引

著者略歴

吉田悦志(よしだ・えつし)
明治大学国際日本学部教授。1949年岡山県生まれ。専攻は、近世近代の日本文化。明治大学博士後期課程単位取得退学。株式会社明治文献(出版社)編集部、明治大学政治経済学部専任講師、同学同学部教授、ドイツ・チュービンゲン大学日本学研究所客員教授を経て、2008年より現職。埼玉大学にて博士(学術)取得。

主な著書

『きみに語る—近代日本の作家と作品』(DTP出版)、『上司小剣論——人と作品』(翰林書房)、『事件「大逆」の思想と文学』(明治書院)。