宮城資料ネット活動参加記~津波を受けた歴史資料保全などを体験して~

2016年03月10日
明治大学 震災復興支援センター

1. 水損資料のクリーニング1. 水損資料のクリーニング

2. 水損資料の乾燥作業2. 水損資料の乾燥作業

3. 古文書のクリーニング作業3. 古文書のクリーニング作業

4. 水損資料を凍結させる専用冷凍庫4. 水損資料を凍結させる専用冷凍庫

5. 湿気を除去するための乾燥機5. 湿気を除去するための乾燥機

 本学の院生が、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークが主催している歴史資料保全活動に参加しました。そのことについて参加した院生から、寄稿がありましたのでご紹介いたします。
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 震災発生から5年を経た現在、復興支援活動のあり方も多様化していると思われます。長く地域に伝えられ、震災で被害を蒙った古文書などの歴史資料を救済し、後世に伝えるために保全する活動=「歴史資料保全・レスキュー活動」もその一つです。被災地では専門家だけでなく、地元大学の教職員および学生、そして一般市民層の有志ボランティアなどが幅広く集って活動する「史料(資料)ネット」と呼ばれる組織の精力的な活動により、多くの資料が守られております。本稿では、2016年2月24日に「NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(通称宮城資料ネット)」の資料保全活動に参加させて頂いた際の経験を報告致します。

 東北大学災害科学国際研究所(宮城県仙台市・東北大学青葉山キャンパス)に拠点を置く同組織は、震災直後より宮城県下を中心とする各地域の旧家等の資料所蔵者宅から搬出された、津波を被った「水損資料」や、保管されていた土蔵等の倒壊により損壊した資料、所蔵者各位自身の被災による保管環境の喪失などにより、行き場を失った各種「被災資料」の応急処置や修復、写真撮影や目録化による記録化作業などの保全活動を行っている組織です。
 以下、筆者が活動に参加させて頂いた際の活動内容です。

●写真1
 宮城県本吉郡南三陸町(旧志津川町)にて津波を受けた後に救助された「水損資料」のクリーニング作業です。こうした資料は泥や土砂を吸ってしまっているので、薄い網状の器具に挟んでから水に漬け、筆で表面の汚れを払っていきます。

●写真2
 紙と板に挟んで重石を乗せ、乾燥させていきます。冊子や折れた単紙などは水や土砂で紙同士がへばりつき、剥がせなくなっているものもあるので、そうした資料は専用の冷凍庫等(写真4・5参照)で凍結・乾燥させてから修復します。一度固着したものは開くことはできないとのことですが、資料の一層の劣化を防ぐことには繋がるかと思われます。

●写真3
 倒木で破損した宮城県栗原市若柳地区(旧若柳町、県内陸北部)の旧士族のお宅の土蔵から搬出された古文書の、埃除去などのクリーニング作業です。
 先の震災では沿岸部だけでなく内陸部も相当の被害を受け、大崎市などでは多くの産業施設が打撃を受けている様子が、白石市などでは史跡の倒壊例が確認できます。こうした地域の資料も、沿岸部のものと同時に保全が進められています。
 またこの時には上述の活動と同時に、同じ施設内で昨年9月の関東・東北豪雨災害で被災した茨城県常総市の資料の修復措置も進められていました。

●写真4:水損資料を凍結させる専用の冷凍庫
●写真5:湿気を除去するための乾燥機

 いずれも常総市から搬出され、同機関にて措置を施している段階とのことです。こちらは資料ネットとしての作業ではないとのことですが、広範な地域・機関との連携の積み重ねが、災害後のこうした助け合いに繋がってくのだと感じました。

 筆者はこれまで宮城資料ネットとは別に、福島県にて活動されている「ふくしま歴史資料保存ネットワーク(ふくしま史料ネット)」での活動にも参加させて頂いてきました。いずれもわずか数回の参加例ですが、日頃の活動では、宮城では主にシニア層の市民ボランティアが声をかけあって参加され、福島では地元大学の学生層が講義や学生生活の合間を縫って参加されているパターンが中心になっていることを感じました。いずれも大変大きな力ですが、被災地在住の有志が活動の中心戦力を担われており、それは裏返せば非被災地からの支援はそれほど大きな戦力となっていない現状のあらわれでもあります。今後は非被災地からの支援体制の充実化を進め、活動の一層の進展を図ることも、筆者含む非被災者にとっての課題となるのではないかと感じております。少しでも多くの方に、こうした歴史資料保全活動に関心を持っていただけましたら幸いです。

 末筆ながら、今回の活動参加に際して多々ご高配賜った天野真志氏(東北大学災害科学国際研究所)および快く作業の技術指導を引き受けて下さった市民有志の皆様に、深謝申し上げます。
大学院文学研究科史学専攻
博士後期課程3年 竹ヶ原 康佑

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