研究・知財戦略機構 学内フォーマット集
ヨーロッパにおける物語の継承-初期印刷本との係わりにおいて-
研究課題名 | ヨーロッパにおける物語の継承-初期印刷本との係わりにおいて- | ||
研究所名 | 人文科学研究所 | ||
研究種別 | 特別研究 | ||
研究概要 | (研究実施計画) 中世のヨーロッパにおいて数十年,数百年の年月を要して形成され,あるいは-特に東方すなわちインドあるいは中国から-多数の国や都市を経て伝えられた数多くの物語(物語群)が,当初はラテン語で,後には近代語訳によって後世に継承された。写本として,あるいは印刷された刊本として。即ち文字を用いた「書承」という手段を選択したところに,音声を用いた,単なる「口承」による伝承とは異なった種類の意志-物語を積極的に後世に引継ごうとする何者かの意志が,そこには見られる。物語を「継承」せしめんとする意志。しかも継承の過程において時代,場所に応じた幾多の変化を伴っているのである。こうして伝えられた物語,あるいは物語群の中から,2乃至は3点を取り上げる。「トロイア滅亡物語」,「アレクサンダー大王伝」,「賢者ビドパイ物語」を予定している。前2者はヨーロッパで生れて語り継がれ,幾つもの写本が残され,木版挿絵入りの印刷本も好んで読まれた。出来事があって後の,比較的早くに書き残され,その後時代を経るにつれて様々な物語が付加,削除されたケースである。「ビドパイ」も同様にヨーロッパで写本,印刷本が多く残されるが,インドで生れた「パンチャタントラ」を祖とする。シルクロードを経て西方に伝わる間に主人公の名を初め,物語を構成する要素が時と所によって変化して継承された状況を見ることができる好例である。これら2乃至3点について,物語(群)の誕生と継承,また継承される中での変化を辿る。その際,本学図書館所蔵「木版挿絵入り西洋初期印刷本零葉コレクション」に収められる零葉はもちろんのこと,国内外の図書館施設に収蔵されるこれらの物語の初期印刷本をもできれば参照したい。 |
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研究者 | 所属 | 職 | 氏名 |
文学部 | 教授 | 吉田正彦 | |
研究期間 | 2006.4~2007.3 | ||
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